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牝馬の難しさを再認識した秋華賞。
ビッシュはなぜ10着に大敗したのか。
posted2016/10/17 11:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
混戦の第21回秋華賞(10月16日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)を制したのは、4年前の牝馬三冠すべてで2着になったヴィルシーナの全妹ヴィブロス(父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)だった。勝ちタイムは1分58秒6。
前半1000mが59秒9、後半1000mが58秒7。速すぎず、遅すぎずの平均ペースではあったが、レースの上がり3ハロンが34秒4だから、最後の瞬発力がモノを言う展開になった。
そんな流れのなか、好スタートを切ったヴィブロスは、1コーナーまでは行きたがって口を割るシーンもあった。向正面に入っても完璧に折り合っていたわけではなかったが、掛かっていたというより、鞍上の福永祐一が引っ張り切れないほどの抜群の手応えと言うべき行きっぷりだった。
そして、直線、外から素晴らしい末脚で伸び、差し切り勝ちをおさめた。
大きな不利を受けながら2着まで追い上げた前走・紫苑ステークスで見せた勝負根性は本物だった。
ジュエラーは4コーナーのもたつきが敗因か。
単勝6.3倍の3番人気に支持されていたことが示すように、サプライズではなかった。特に勝因がどうのというレースではなく、強い馬が力を出し切った、ということに尽きるだろう。
2着に来た4番人気のパールコードは、強敵と差のない競馬をしていた春の状態に戻っていたようだ。
8番人気のカイザーバルは、向正面で掛かりながらも、最後までヘコたれることなく3着と健闘した。ローズステークスでシンハライトからコンマ1秒差の3着だから力はあるわけだし、14日に死亡した伯母の名牝ダンスパートナーが天国から後押ししてくれたのかもしれない。競馬では、身近な馬や関係者が亡くなったとき、それを弔うように馬が頑張ることがしばしばある。
4着は、2番人気に支持された桜花賞馬ジュエラー。ミルコ・デムーロがコメントしたように、4コーナーで馬群をさばけなかったぶんの負けだろう。結果は出せなかったが、強さを見せることはできた。
5着は5番人気のレッドアヴァンセで、手応えほど伸びなかったのは、距離に限界があるからかもしれない。