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秋華賞は世代上位馬が不在で大混戦。
ビッシュの力か、ジュエラーの格か。
posted2016/10/15 07:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
圧倒的1番人気になると思われたオークス馬シンハライトが故障のため回避し、牝馬三冠を締めくくる第21回秋華賞(10月16日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)は、大混戦の様相を呈している。
NHKマイルカップを勝った昨年の2歳女王メジャーエンブレムも、オークス2着馬チェッキーノも戦線を離脱し、春に想定していたよりは寂しい顔ぶれになってしまった。
しかし、故障せずに走りつづけいい状態で大舞台に出走することも、競走馬にとって大切な「強さ」である。
そうした意味での強さを、ビッシュ(父ディープインパクト、美浦・鹿戸雄一厩舎)がここでも見せてくれるはずだ。
デビューは今年の2月と遅れたが、それからは月1回のペースで順調に実戦をこなし、オークスでは一瞬、勝ったかと思わせる3着。秋初戦の紫苑ステークスでは2着を2馬身半突き放し、あらためて能力の高さを見せつけた。京都内回りコースと同じく小回りの中山芝2000mで、フルゲート18頭の多頭数となったこのレースを快勝したことは、本番に向けて心強い。
オークスの1、2着馬がいない今回は、1番人気になるのではないか。
美浦で追い切ったあとの馬体重は、紫苑ステークス出走時と同じ420キロ。輸送があるので、当日はオークス出走時の416キロと同じくらいになると思われる。数字は春からほとんど変わっていないが、鹿戸調教師が話しているように芯がしっかりしてきた。馬体の維持に苦労した春とは違い、今は攻めた結果の420キロだ。5枠10番という理想的な枠を引いた。小さな女王の誕生が、現実味を帯びてきた。
秋華賞は「格」がモノをいう?
秋華賞の過去10年の勝ち馬には、無敗の二冠馬となったカワカミプリンセス、のちに有馬記念を制するダイワスカーレット、牝馬三冠馬アパパネとジェンティルドンナ、ジャパンカップを勝つショウナンパンドラなど、牡馬の王者顔負けのビッグネームがズラリと並んでいる。
かと思えば、ウオッカ('07年3着)やブエナビスタ('09年3着=2位入線)などの大物が敗れているのだが、ある程度キャリアを積んだ馬たちの戦いだからか、「格」がモノを言う一面もある。