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世代交代を約束した“誓いのパス回し”。
ロンドン五輪世代のブラジルW杯秘話。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2016/09/09 14:00
2014年、ブラジルW杯での日本代表の合宿地イトゥの練習場での齋藤、山口、酒井(宏)。彼らが行動で示した「誓い」が初めて明かされる。
「本田を超えろ」は「要は僕ら次第」(齋藤学)。
同じように投げかけてもそれぞれ答えは違う。
それぞれ悔しさのカタチは違う。
それぞれ道の歩み方は違う。
すべては日本を背負い、ロシアW杯で勝つために――。
20代半ばにさしかかった彼らの内に秘めた思いは、ひとときも緩むことがない。
Number9月16日臨時増刊号のタイトルは「本田を超えろ」。つまりは“高い壁”であり続ける本田圭佑たちの世代を超えていけ、というエールがこめられている。このタイトルを齋藤学に伝えると「要は僕ら次第」と言葉に力が入った。
ロシアW杯アジア最終予選が始まった。日本は初戦でUAEによもやの敗北を喫しながらも、アウェーでタイに勝って建て直した。同じくロンドン五輪世代である原口元気の先制弾をアシストしたのが酒井宏樹だった。
あの日――。
鬼役を1人から2人に増やし、素早くパスを回す。鬼役とガツガツと体をぶつけていく。声が飛ぶ。時間の経過とともに熱を帯びていく。
ブラジルの青空はしっかりと見届けてくれている。
はちきれんばかりの彼らの思いというものを。