得点力もあるが、ゲームメイカーとしての能力も証明。

　昨季、チーム得点王のデュラントがいる状態でもウェストブルックは平均23.5得点、7.8リバウンド、10.4アシストを記録している。さらにトリプルダブルの年間18回の記録は1976年シーズンのマジック・ジョンソン以来最多、トリプルダブルを1カ月間に7回は1989年4月のマイケル・ジョーダン以来最多となる。5度のオールスターにも選出されている。だが超攻撃型なプレイスタイルが、PGとしてのゲームメイク力を疑問視される原因となっていた。

　しかし昨季はアシスト数も飛躍的に伸びリーグ2位。超人的な能力を証明しているうちにNBAのゲームスタイル自体が彼に寄ってきてしまった印象さえある。

　近年のNBA選手で、彼ほど激しい闘争心を持って毎晩100％のパフォーマンスをしている選手はいない。その意味では、マイケル・ジョーダンも彼が自分に似ているとコメントしている。

市長が「ウェストブルックの日」を作る!?

　驚異的な身体能力に不屈の競争精神。彼とコート上で対峙したがる選手は少ない、敵に回すとこれほど嫌な相手はいない。

　しかしコート外では意外な一面が見える。

　ドラフトされて以来、住んでいるオクラホマの家は地元住民に知られていて、近所の子供がピンポンとドアホンを鳴らせば彼が気軽に出てきて子供に混じってバスケをする姿が多々目撃されている。スキャンダルも一切なく、大学時代からの彼女と結婚。派手な生活をSNSで披露する様子もない。

　今回のFA騒動でも次のシーズン後の2017年夏まで契約を延長せずに過ごせば、各チームからの勧誘合戦を体験できたにもかかわらず、本人は「居たい場所がわかっているのに、先延ばす理由がない」と派手な勧誘や接待に一切興味がないことを示した。

　先日、オクラホマシティ市長が8月4日を“ウェストブルックの日”とすることを議会で承認した、と発表しニュースになったが、ウェストブルックは契約延長をしたことで一躍オクラホマの救世主となった。

　デュラントとの共存から解放された彼がより一層羽ばたいた時、どこまで進化するのか見届ける価値は十分にある。