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筒香嘉智、独占インタビュー。
「矢印をまとめる」究極の打撃を。 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byYDB

posted2016/09/01 11:00

筒香嘉智、独占インタビュー。「矢印をまとめる」究極の打撃を。<Number Web> photograph by YDB

横浜スタジアムに何度もアーチを描き、ファンに歓喜を届ける筒香。その言葉からは求道者の雰囲気が漂う。

常に進化したいと思っていて、寝たくないくらい。

 向上心、探求心を裏づけるのが「時間」に対する考え方だ。

 試合後、筒香の帰り支度は早い。そんなに急いで、家で何をしているのだろう? そんな素朴な疑問にはこう答えた。

「僕は時間がない。家に帰ってもすごくやりたいこともいっぱいありますし。常に進化したいと思っているので、ほんとは寝たくないんですよね。でも、寝ないと次の日にいいパフォーマンスができないから、だから寝ようっていう感覚。疲れてるから寝ようっていうのは僕の中ではないですね。進化するために、常に何かを試したい、新しいものは手に入れたいという思いはずっとあります」

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 筒香が担う肩書は「主砲」だけではない。「主将」に就いて今季は2年目。チーム全体をまとめあげ、牽引する役割を求められている。

主将として山崎康晃、外国人選手たちへの配慮も。

 不振にあえぐクローザー山崎康晃の運転する車の助手席に乗り込み、球場を後にした8月5日の夜のことを尋ねると、言った。

「僕は、ずっと彼に伝えたいことがあって。それがたまたまあのタイミングになっただけです。打たれたから(車に)乗ったっていう、そういう表面だけで話したりとか、ものをとらえたりすることはない。(山崎に伝えたかったことは)教えられません」

 この例に限らず、主将としての筒香の動きは、あまり表には見えてこない。だが関係者の話によれば、試合前のベンチ裏に、異様なほどのハイテンションで仲間を鼓舞する筒香の姿があるという。そこに隠された狙いは、ちょっと意外なものだった。

「外国人選手たちは、全く知らない日本に来て、家族が来ることはあってもすぐ帰ってしまったりする。やっぱり違う環境だと、どうしても難しい部分というのがあると思う。彼らに対しての配慮はすごく心がけてますね」

 大きな体に繊細な心を宿した主将の、助っ人への心配り。そうして育まれる一体感は、シーズン最終盤の戦いに臨むチームの大きな武器になる。

【次ページ】 全員が「俺がキーマンだ」と言えるようなチームに。

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