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DeNA須田幸太が夏場もバテない理由。
「究極の便利屋」が蓄積した“貯金”。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/08/24 11:00
早大からJFE東日本とアマ球界のエリートコースを歩んだ須田。昨季の経験を土台に中継ぎとしてシーズン通じての活躍を見せられるか。
疲れを残さないためのシーズン序盤の過ごし方。
登板数は昨季の29試合がプロ入り後最多だったが、今季はすでに47試合に到達(8月21日終了時点)。それでも一切バテを感じさせることなく、低めに強いストレートを投げ込むことができているのは、必然の結果であるようだ。
須田はこう言い切った。
「プラン通りだと思います。8月に一番いい状態にもってこようと思っていたので。1年間やるんだったら8月が勝負だなということは、シーズンに入る前から木塚(敦志)コーチと相談していました。絶対に8月に疲れがくるから、疲れを残さないためのシーズン序盤の過ごし方をしようと」
自主トレからキャンプを通して培ってきた体力の“貯金”は5月、6月で尽きると見越していた。だからこそ、あえてシーズンが始まってから、4月、5月のまだ涼しい時期に走り込みや体幹のトレーニングを入れ、勝負の夏場に備えていた。すべては計算ずくだったというのだ。
春先はトレーニングに時間を使いやすい状況だった。
春先は先発投手陣が好調でトレーニングに時間を使いやすい状況が生まれていたことも幸いした。さらに須田は、「この場面は誰が投げるっていうのをラミレス監督が決めているので選手としては調整しやすかった。(ブルペンで)無駄な球を投げなくて済む」と、投手起用の明確な方針がシーズン中の体力強化の助けになったことを明かす。
「去年は9月に調子を落としたので、その経験があったから今年があるのかなと思います」
須田のそんな言葉を聞いて思い返されるのは、もう一人のセットアッパー、田中の発言だった。
9年目の左腕は昨季キャリアハイの35試合に登板したが、これはすべてシーズン前半に記録したもの。夏場に調子を落とすと、そのまま二軍で終幕を迎えていた。今季は一度も二軍落ちすることなくチームトップの50試合に登板して、防御率1.25と好調を持続している。
7月、田中は1年前に思いを馳せて、こんなことを言っていた。