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DeNA須田幸太が夏場もバテない理由。
「究極の便利屋」が蓄積した“貯金”。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/08/24 11:00
早大からJFE東日本とアマ球界のエリートコースを歩んだ須田。昨季の経験を土台に中継ぎとしてシーズン通じての活躍を見せられるか。
狙いはCSじゃない。広島の背中を追っているんだ。
「去年は体を休めることばかりに重きを置いてしまって、結果的に夏場にバテもきて、力が出ないような体の状態になってしまったんです。今年は体にいい張りをもたせるためのトレーニングを続けているし、自分のいい時も悪い時も知っている木塚さんからいろんなアドバイスもいただいている。ある程度は投げたいところに投げることができているので……去年とは雲泥の差かなと思います」
厳しい暑さの中、須田と田中、左右のセットアッパーが自己最多の登板数を更新し続けながら自らの務めを果たせているのは、昨季味わった苦い経験が糧となり、着実に今季に生かされているからなのだ。
須田はシーズン最終盤にかける思いを強い口調で言う。
「(CS進出圏の争いが)重圧になっているということはまったくないです。そこは楽しむ性格なので。監督が毎日のように言うんです。『俺らはCSを狙ってるんじゃない。優勝を狙っている、広島の背中を追ってるんだ』って。下が追いついてこようが追いついてこまいが、上だけを見て一つずつ勝っていこう。選手も同じ気持ちです」
残り30試合を切って、広島の背中は依然として遠い。さらに、ここにきて打線が不振を極めている。だからこそ、リードした状態で終盤を迎えるいわゆる“勝ち試合”を絶対に落とすことはできない。
「究極の便利屋」の真価が問われる季節になる。