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“力感ない剛腕”作新・今井を打てず。
明徳・馬淵監督「春、勝つよ」と去る。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/08/20 15:30

“力感ない剛腕”作新・今井を打てず。明徳・馬淵監督「春、勝つよ」と去る。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「まあ見とってください。負けるたびに明徳は強くなるんで」。シッカリとセリフを決めて甲子園を去った馬淵監督。

1-0だろうが100-0だろうが、負けは負けよ。

 その言葉通り、絶対的なエースの今井に対しては、5回を終えて降板するまでに、3四球を選び、球数も96球も費やさせた。

「今日の今井君は、フツーのピッチャーやったね。ブルペンで投げてるときから、おかしいと思ってた。この炎天下、やっぱり一人で投げるのはつらいよ」

 結果は、2-10で惨敗。しかし、この男は、いつだって負けてもじつにサバサバしている。

「1-0で負けようが、100-0で負けようが、負けは負けよ」

 大会前、馬淵監督の甲子園の通算勝利数は45勝だった。50勝間近とあり、勝つたびに、通算勝利数に話題が及んだ。

「50勝したら、辞めようと思ってたんよ。それは、ほんと、かなり前から」

来年のセンバツは優勝します! みとってください!

 だが、去り際、こう豪語した。

「来年のセンバツは、優勝します! 自信あります! みとってください!」

 敗れた直後に、これだけ前向きな指揮官もそうはいない。そして、指を折って、23日から始まる新人戦までの日数を数えた。

「優勝しても、すぐ帰らんといかんかったな」

 とてもではないが、あと2勝で監督を退こうとしていた人の発言には思えなかった。

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