スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
無名の新鋭と50試合連続安打。
マイナーで達成された大記録。
posted2016/08/20 07:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
イチローがとうとう3000本安打クラブに仲間入りした。いままでの彼を見ていれば当然の帰結だし、本人がいうとおり、遅きに失した感もなくはないのだが、定位置を得られないという障壁を乗り越えての達成だけに、心から拍手を送りたい。あと何本、などとお節介な口は叩かないから、これからもできるだけ長くプレーしてもらいたいものだ。イチローが元気だと、私も元気になれる。
ここで突然、地味な話題に変えさせていただきたい。
イチローが産みの苦しみを味わっていたさなか、マイナーリーグで、連日ヒットを打ちつづけた選手がいた。もちろん、レベルはあまりにもちがう。クラスAとかクラスA+で起こった話だから、その選手が将来メジャーに昇格できるかどうかも定かではない。
両打ちの捕手、フランシスコ・メヒアという20歳。
選手の名はフランシスコ・メヒアという。1995年10月27日、ドミニカ共和国に生まれた20歳の捕手(ときどきDH)だ。所属チームは、インディアンス傘下のレイクカウンティ・キャプテンズ(クラスAのミッドウェスト・リーグ)とリンチバーグ・ヒルキャッツ(クラスA+のキャロライナ・リーグ)。
このメヒアが、50試合連続安打を放った。期間でいうと、2016年5月27日から8月13日まで。この間の成績は、202打数78安打、3割8分6厘。今季通算(8月14日現在)の成績は、87試合に出て、351打数121安打、3割4分5厘。
身体は大きくない。178センチ、79キロの右投げ両打ちだ。数少ない映像を見るかぎり、右打ちではわりとパンチがあり、左打ちで内野安打を稼ぐという印象を受ける。
大リーグの連続試合安打記録は、周知のとおり、ジョー・ディマジオが1941年に残した56だ。ただ、マイナーリーグまで含めると、ジョー・ウィルホイト(ウェスタン・リーグ)という選手が、1919年に69試合連続安打を放っている。ディマジオ自身も、サンフランシスコ・シールズ(パシフィック・コースト・リーグ)時代の1933年には、61試合連続安打を記録した。