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最強国相手で見えた可能性と限界。
日本女子バスケ代表は絶対強くなる。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJMPA
posted2016/08/19 08:00
渡嘉敷来夢は2015年からアメリカプロリーグに挑戦し、新人ベスト5にも選ばれた。センターかフォワードか、悩ましい選択だ。
ローポストからの得点がほとんどない。
ゴール下でセンターが体を張り、振り向きざまにシュートを狙うことは、シンプルだが得点確率の高い戦術である。
こうした得点が日本にはなかった。
あえて苦言を呈す。本来であれば、身長193センチの渡嘉敷来夢は、高校時代からそうした役割を期待されてきた。しかし、身長2メートル以上の選手が珍しくないオリンピックで、そうしたプレーは影を潜めた。
アメリカ戦ではミドル、ロング、ガードとのピック&ロールからのレイアップはあったが、体を張ってからのペイントエリアでの得点はなかった。
当然のことながら、日本はトランジッション(速攻)から得点は取れるが、「遅攻」、ハーフコート・オフェンスでは、渡嘉敷を軸とした有効なプレーがなかなか見られなかった。
渡嘉敷はアメリカのWNBAで、所属するシアトル・ストームではフォワードとしてプレーせざるを得ないので、ミドルから3ポイントラインの内側のシュートがどうしても増えてしまい、それを引きずってしまったように見える。
WJBLは外国人選手のプレーを認めていない。
しかし日本代表が勝つには、渡嘉敷のポストプレーがどうしても必要だと思う。ミドルレンジからのシュートは、ポストプレーがあってこそ、より効果的になるのではないか。
問題は、国内のリーグでは渡嘉敷に対してタフな環境を提供できないことにある。
WJBLでは、外国人選手のプレーを認めていない。もともとは国内のセンタープレーヤー育成を目的としていたが(他にも事情はある)、東京オリンピックでメダルを狙うとするなら、渡嘉敷が日常的に「高さ」に揉まれる環境を作り出すのが近道ではないだろうか。
これは強化側のマネージメントの問題であるが、国際試合でたくましいプレーを期待するならば、外国出身の選手に門戸を開放する時期かと思う。少なくとも、早急に検討しても損はないと思う。