野ボール横丁BACK NUMBER

カメラが止まってからが本領発揮。
甲子園監督の、子供みたいな名言集。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2016/08/16 14:00

カメラが止まってからが本領発揮。甲子園監督の、子供みたいな名言集。<Number Web> photograph by Kyodo News

明徳義塾の馬淵史郎監督は、様々な伝説を持っている。今大会でも、新たな逸話が生まれている。

聖光学院・斎藤監督「負けたら福島に帰さんぞ」

 馬淵監督に負けず劣らず報道陣の笑い声が絶えることがないのは福島弁全開の、聖光学院の斎藤智也監督だ。聖光は福島大会10連覇中の常連校である。

 12日の初戦で、格下といっていい北北海道代表で初出場のクラーク国際に苦戦。7回まで1-3とリードを奪われる展開に、斎藤監督はベンチ内で相当ストレスをため込んでいたようである。

「『大阪湾に沈めるぞ、コラ』とまでは言わないですけど(笑)、このまま負けたら福島に帰さんぞぐらいの思いはありましたね。10連覇の責任と使命はありますから。へでなし(福島弁で酷いの意味)野球はできない。県民のみなさんは、怒ってたんじゃないかな。こいつらは10連覇して、赤い絨毯の上を歩いてるようなとこ、あっから。高飛車なんだよ」

 地方大会も、甲子園も、やるべきことは一緒だという話になると、こんな表現まで飛び出した。

「四角いジャングルであることに違いはない」

山梨学院・吉田洸二監督は居酒屋の佇まい。

 2回戦で去った山梨学院の吉田洸二監督の、長崎弁のイントネーションが印象的なコメントも味わい深い。

 長崎出身の吉田監督は清峰時代、'09年春に長崎県勢として初めて全国制覇を成し遂げた。その後、'13年に母校の山梨学院大の付属校に引き抜かれる形で移った。期待されながらも、最初の頃は思ったような成績を残せなかった。

「清峰は公立校なので、勝てなくても教員の仕事を全うしていればよかった。でも、今は私学で野球の監督として働いている。男が仕事でうまくいかないと、自分を否定されているような気分になるじゃないですか……。山梨なんて、来なければよかったなって思ったこともありましたね」

 まるで居酒屋で人生論を語っているような雰囲気になった。

【次ページ】 いなべ総合・尾崎監督の一人芝居。

BACK 1 2 3 NEXT
馬淵史郎
斎藤智也
吉田洸二

高校野球の前後の記事

ページトップ