リオ五輪PRESSBACK NUMBER
手倉森監督「いい流れじゃない?」
コロンビア戦“最悪”からの同点劇。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2016/08/08 16:30
同点弾を決めても、中島翔哉は喜ぶというより逆転への意志をあらわにしていた。この空気が、何かを起こす条件だ。
典型的な負けパターンから見せた驚異的な粘り。
前半の日本に足りなかったのはただひとつ、ゴールだけである。10分に矢島慎也、33分に藤春廣輝が決定機をつかむものの、ゴールネットを揺らすことができない。
後半もパワーを注いでゲームに入る。キックオフの余韻が残るなかで、いきなりコロンビアに襲いかかる。敵陣でパスカットした浅野拓磨の左足シュートが、相手GKにギリギリで防がれる。その直後にも井手口陽介、矢島が、立て続けにシュートを浴びせる。
ゲームのイニシアチブは握っている。決定的なシーンも作り出している。だが、先制点を奪えていない──。
こうしたチームがどのような仕打ちを受けるのかは、Jリーグでも、国際試合でも、日本でも、ブラジルでも変わらない。ワンチャンスを生かされて59分に失点し、6分後にはオウンゴールで追加点を与えてしまう。
流れとしては最悪である。典型的な負けパターンと言ってもいい。
ところが、ここから日本は驚異的な粘りを見せるのだ。
この日のジョーカーだった、大島と南野。
きっかけは62分の選手交代だ。ボランチの井手口に代えて大島僚太を、矢島に代えて南野拓実を投入する。「あの2人をいれて2点取るプランはあった」と手倉森監督は言う。アジア最終予選のようなターンオーバーはしないものの、「間違いなく全員に出番がある」と話していたように、ナイジェリア戦に先発した大島と南野を、この試合ではジョーカーとして用意していたのだ。
果たして日本は、手放しつつあった試合の流れを再び引き戻す。67分、大島のタテパスを南野が受け、すぐに浅野へつなぐ。ゴール前の密集の中でシュートコースを見つけた背番号16は、左足で豪快にネットを揺らした。
73分には背番号10が大きな仕事をやってのける。中島翔哉だ。コロンビアのレストレポ監督が警戒すべき選手として名前をあげたMFが、GKの頭上を破る右足ミドルを叩き込んだのである。
0-2から2-2に追いついた。肉体の消耗は、日本よりコロンビアが激しい。アジア最終予選の韓国戦の再現が期待される。しかし、3点目が生まれる前に終了のホイッスルが響いた。