リオ五輪PRESSBACK NUMBER
手倉森監督「いい流れじゃない?」
コロンビア戦“最悪”からの同点劇。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2016/08/08 16:30
同点弾を決めても、中島翔哉は喜ぶというより逆転への意志をあらわにしていた。この空気が、何かを起こす条件だ。
遠藤航「0-2から追いついたのは次につながる」
「あれだけみんなが球際でバチバチ戦ってくれて、いい形で抑えてくれていたので、そういうときこそ僕らFW陣がゴールという結果で貢献しないといけない。今日はちょっと、遅かったかなと思います。でも、今日の試合は絶対に次につながると思います。次の試合こそ、絶対に勝利につながるゴールを決めたいと思います」
こう話したのは浅野である。2-2に追いついたあとにもビッグチャンスを迎えただけに、彼は「悔しい気持ちがあります」と口元を引き結んだ。
キャプテン遠藤も、勝ちきれなかった事実は重く受け止めている。ただ、試合内容には進歩を感じている。
「2失点してしまったのは反省点にしないといけないですが、0-2から追いついたのは次の試合につながる。今日みたいなゲームの内容を次のスウェーデン戦でも続けながら、チャンスが巡ってきたときにしっかり先制点を取る展開に持っていきたい」
手倉森監督「いい流れじゃない?」
手倉森監督は「いい流れじゃない?」と切り出した。攻守にハードワークする「らしい」サッカーができただけに、胸中で手応えが膨らんでいるのだろう。
「我々は世界で戦ったことのない監督と選手のチームで、初戦でまず傷つけられて、2戦目に勝たなきゃいけない状況で追いついて、勝点1をもぎ取れた。次はいよいよ勝つときがきた、と。世界に出たことのない我々が、そう簡単に勝っちゃいけないんだろうと。もうひとつ、今日勝ったところで、次に負けたら何も残らない。“ドラマティック・ジャパン”は、しり上がりに良くなるほうがいいだろう」
自力での2位通過はなくなっているものの、1月のアジア最終予選に似たムードが急速に高まっているのは見逃せない。幸運をも味方につける雰囲気が。
何かを起こすための一体感と攻撃の勢いは、すでに整っている。