バレーボールPRESSBACK NUMBER
栗原恵は今もコートに立っている。
変わらぬ可憐な笑顔と、新たな役割。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2016/07/30 07:00
今年1月、栗原恵は通算230試合出場を果たし、Vリーグ栄誉賞の資格を得た。
自らも挫折を経験した五輪メンバー発表には……。
サマーリーグが開幕する4日前、リオデジャネイロ五輪の女子日本代表のメンバー発表があった。昨年のワールドカップで活躍し、今年5月の五輪最終予選でもメンバーに入っていた20歳の古賀紗理那(NEC)の落選は驚きだった。10代で日本を背負う若きエースと注目を浴び、4年前のロンドン五輪ではメンバーからの落選という挫折も経験した栗原と、古賀が少し重なって見えた。
「彼女が『もう一回頑張ろう!』と思えるような環境を」
両方の経験を、この1年の間に一度に味わうことになった古賀への思いを、栗原に聞いた。
「全然えらそうなことは言えないんですけど……」と遠慮しながらも、こう話してくれた。
「たぶん周りの人からは、『まだチャンスがあるよ』というふうに言われていると思うんですけど、頑張っていた本人にとっては、受け入れるのに時間がかかるでしょうし、つらいと思います。でも、やっぱりそういう経験も絶対にムダにはならないと思う。『ここで終わりじゃない』というふうに、捉え方一つで変わってくる部分が絶対にあると思います。
監督の考え方一つで(選手の)進退が決まってしまうのがこの世界なので、残酷な言葉を言われることもありますが、まだ若い選手なので、うまく眞鍋(政義)監督の口から、次につながるような、いいきっかけにできるような言葉をかけてもらっていたらいいな、という思いはあります。リオで終わりじゃなく、先のオリンピックもあるので、そこを見据えた時に、彼女が『もう一回頑張ろう!』と思えるような環境を周りが作らないといけないと思いますね」