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筒香嘉智が“セリフ”を気にする理由。
平凡なコメントは「超頭いい」ゆえ?
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/07/29 07:00
鮮やかな弾道を横浜スタジアムのスタンドに放り込み続ける筒香。クライマックスステージ進出へのキーマンであることは間違いない。
チームメート宮崎いわく「超頭いいと思いますよ」。
「特にきっかけがあったわけではありません。常に、技術も心も進化したいと思って勉強している中で、そういう考え方に出会ったというだけのことです。どれが正解かは分からないけど、僕は自分に合ってると思うものはけっこう続けるので。だから、『これ、やってみよう』と簡単に選ぶこともないですね」
体格やパワーに目を奪われがちだが、この探求心、考え抜く姿勢こそ、筒香のすごみなのではないかと思えてくる。
チームメイトの宮崎敏郎がこんな話をしていたことがある。「筒香の何がすごいのか」が話題になった時のことだ。
「全部すごいですけど、頭いいですよね。超頭いいと思いますよ。配球とかもめっちゃ考えてると思いますし」
前の打者がファウルで粘る間に頭を整理して打席へ。
それを強く感じたのは、3番に入った宮崎が粘りに粘って四球を選んだ後、打席に入った筒香がホームランを打った時だったという。
「僕がファウルで粘っている間に、頭を整理して打席に入ることができましたって自分で言ってましたね。だからあのホームランにつながったんだと思います」
プロ入り2年目のオフ、トレーニングの場をアメリカに求めた。昨オフはドミニカのウィンターリーグに身を投じた。メンタルコントロールを極めるのと同様に、国境を越えることも厭わず、技術の研磨にも力を注ぎ続けてきた。
このところ、記者の質問は「ホームラン量産の理由」にどうしても向かいがちだが、筒香の語るそれは常人の理解を明らかに超えている。