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勝ち星よりも黒田博樹が誇る数字。
日米通算「10000アウト」という勲章。

posted2016/07/29 11:00

 
勝ち星よりも黒田博樹が誇る数字。日米通算「10000アウト」という勲章。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2位以下に大差をつけて首位を独走する広島。黒田博樹がその中心の1人であることは疑う余地がない。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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NIKKAN SPORTS

 ここ数年、年に何度か黒田博樹にロングインタビューしている。

 いつもいつも、簡潔に、時に情熱的に野球について語ってくれる。今年も現役を続けると聞いた時は、ぜひとも日本シリーズで投げて欲しいと思ったものだ。今年のカープなら、そのチャンスが現実のものとなりそうだ――。

 彼が41歳にして日米通算200勝を達成したのは、取材者のひとりとして本当にうれしい。

 7月29日現在、通算成績は200勝181敗。10回勝って、9回負けることを20年間繰り返してきたことになる。2007年までの広島前期、そしてメジャーでも決して打線の援護に恵まれなかったことを考えると、いかにも黒田らしい、地道なキャリアを反映した成績だと思う。

 200勝はひとつの区切りだけあって、本人もホッとしたとは思うが、昨年Number878号で単独取材に応じてくれた時には、違う記録の方に誇りを持っていた。

 それは日米通算投球回数である。昨季の時点で、野茂英雄が持っていた最多投球回数を抜き、トップに躍り出ていた。

 現在は投げるたびに記録を更新しているわけだが、7月29日現在、3291回と3分の2まで達している。

 実にこれまで積み重ねたアウトは、9875。

 あと125個アウトを取れば、日米通算で10000アウトを達成する計算になる(あと41回3分の2。今季中に達成可能な数字だろう)。

「引退したとしたら、自分で評価できる部分かな」

 メジャーリーグでプレーしてから、黒田は投球回数について「誇り」を持つようになった。

「勝ち星では大投手に及ばなくても、イニングをこなすというのは、ケガをせず、コンディションを整えて投げ続けるということなので、もしも引退したとしたら、自分で評価出来る部分かなと思います」

 そう、昨年の時点で語っている。

【次ページ】 「黒田さんは、究極に自己評価が低い選手です」

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