欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
EURO後に伸びる国、落ちる国。
ポルトガルは“一発屋”ではない!
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/07/11 11:50
ポルトガルの悲願の優勝を果たしたC・ロナウドたち。「トロフィーは、すべてのポルトガル国民と、すべての移民、そしてチームを信じてくれたすべての人達のものだ」とコメントした。
ベルギー、イングランド、スペインは後任監督次第。
初出場ながらベスト4進出の快挙を達成したウェールズは、手堅い守備と選手全員のハードワークが際立った一方で、攻撃時におけるベイルとラムジーへの依存度が極端に高かった。実際、ラムジーを欠いたポルトガル戦では無得点に終わっている。グループリーグではイングランドに力負けしており、ふたたび欧州を席巻できるかは未知数だ。オーストリアやアイルランドと戦うワールドカップ予選の突破が現実目標となる。
そのウェールズに準々決勝で完敗したベルギーは、確固たる組織を築き上げられなかったビルモッツ監督の退任が濃厚。
アザールとデブライネを筆頭に、ルカクやビツェルなどタレントの質と量に疑いの余地はないだけに、新たに招聘する指揮官のチーム作り、組織固めが今後のパフォーマンスを大きく左右する。
指揮官次第なのはイングランドも同じで、すでにホジソン監督が契約満了に伴う退任を表明済み。アメリカ代表を率いるクリンスマンなどが後任候補に挙がっている。
ブラジルワールドカップに続いての早期敗退となったスペインも、デルボスケと袂を分かち、新たな監督の下でイチからのスタートを切ることになる。2013年のU-21欧州選手権を制したモラタやチアゴ、コケあたりが、シャビやシャビ・アロンソ、ビジャら黄金期を支えたレジェンドの穴を埋められるかが焦点だ。ワールドカップ予選では、EUROで完敗したイタリアとふたたび激突する。
イタリアはコンテ監督退任が大きすぎるが……。
スペイン、ベルギーを叩きのめしたイタリアは、高度な組織力を植え付けたコンテ監督が退任(→チェルシー)するダメージを食い止められるかが焦点。
EUROを欠場したべラッティやマルキージオが戦列に戻る見込みとはいえ、高齢化している戦力事情も気がかりだ。
クラブレベルでスター軍団を率いた経験のないべントゥーラ新監督が舵取りを誤るようなら、さらなる進化・発展を望むのは難しい。
大きな話題をさらったアイスランドは8強進出の大躍進に伴い、この国のサッカー史上初めて、追う立場から追われる立場になる。おのずと対戦相手の警戒レベルは上がるだろう。その中でクロアチアやウクライナ、トルコと激突するワールドカップ予選を勝ち抜かなければならない。真価が問われるのはこれからだ。
2011年のU-21欧州選手権に出場したG・シグルドソン、B・ビャルナソン、グンナルソン、シグトルソンら“黄金世代”が今後も牽引車となるだろう。