欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
EURO後に伸びる国、落ちる国。
ポルトガルは“一発屋”ではない!
posted2016/07/11 11:50
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
Takuya Sugiyama
ポルトガルの初優勝で幕を閉じたEURO2016は、初出場のウェールズやアイスランドも大躍進を果たし、前回王者のスペインや強豪イングランドが早々と姿を消すなど、ヨーロッパにおけるパワーバランスの変化が少なからず確認できる大会となった。EUROで話題をさらった国々の状況を整理しながら、それぞれの近未来を展望し、塗り替えられた新たな勢力図を描き出してみたい。
近い将来のビッグタイトル獲得を予感させるのがフランスだ。
6ゴールでEURO得点王に輝いたグリエスマンが25歳で、中盤の大黒柱であるポグバが23歳と、二枚看板のさらなる成長が期待できる。22歳のウムティティが頭角を現したCBは、怪我でEUROを棒に振った'93年生まれのバランが復帰すれば、さらに強度を高めそうだ。
自国開催の重圧に押し潰されずにチームをまとめ上げ、グリエスマンのセカンドトップ起用など采配が冴えたデシャン監督の存在も頼もしい。
課題は35歳のエブラと33歳のサニャがレギュラーだったSBの世代交代くらいしか見当たらない。
スウェーデンやオランダなど曲者揃いのグループに組み込まれたロシアワールドカップ予選を、すんなり勝ち抜いても不思議はない。
ポルトガルは一発屋では終わらない!
ポルトガルも“一発屋”には終わらないはず。
初参戦のEUROで異彩を放った18歳のMFレナト・サンチェスをはじめ、22歳のDFゲレイロ、23歳のMFジョアン・マリオら若手逸材に事欠かないからだ。
2015年のU-21欧州選手権でMVPに輝いたアンカーのW・カルバーリョ(24歳)も、これから選手としてのピークを迎えるだろう。グループリーグ3試合で未勝利(3引き分け)とスロースタートを切ったEUROだったが、大会を勝ち進むごとにチームとしての成長を感じさせ、フランスとの決勝ではロナウドが負傷交代というアクシデントに見舞われながら堂々たるパフォーマンスを披露した。未来は明るい。
ドイツも不安より期待のほうが大きい。
準決勝でフランスに敗れたとはいえ、ボールを支配しながらチャンスを作り出す能力は傑出していた。
クロースやノイアー、ミュラー、エジルら脂の乗り切った主力を引き続きチームの中心に据えつつ、続々と台頭する若手をうまく取り込みながら、ワールドカップ2連覇に向かって邁進しそうだ。
懸念は国際舞台で通用する純正CFの少なさで、31歳のゴメスを脅かすタレントの出現が待ち望まれる。去就が注目されるレーブ監督は続投の見込みだ。