詳説日本野球研究BACK NUMBER
「超高校級」の出現は6~8年周期!?
筆頭は清宮幸太郎、そしてもう1人。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/07/08 11:30
清宮を擁する早稲田実業は2015年夏ベスト4。この夏もフィーバーが見られるか。
大谷・藤浪の出現から3年、現れた清宮。
超一流の素材の多くがアメリカへ渡ってしまうので、日本のプロ野球界は慢性的な超一流不足に見舞われるが、超一流の流出によって各球団は早い新陳代謝を迫られ、とくに選手がメジャーに渡ることの多かったパ・リーグからはイキのいい若手がどんどん輩出され、それはリーグの活力となってセ・リーグを圧倒している。
現在はどうかというと、大谷・藤浪の出現以来3年が経過しているので、そろそろ“リアルな超高校級”が出現してもいい時期で、その筆頭候補が清宮幸太郎(早稲田実、以下早実)だと思う。
昨年夏の甲子園大会に1年生として出場、名門・早実の3番打者を務め、注目の本格派、東海大甲府の菊地大輝と九州国際大付の野木海翔からホームランを放つことによって、リトルリーグの世界大会で活躍した「元スーパー中学生」から、「甲子園のスーパー1年生」という実体の伴った存在にのし上がることができた。
清宮が試される高校2年目の夏。
1年生にして脱力した状態からインパクトに向かって力強くスイングできることに驚かされる。ホームランは2本ともライト方向に引っ張り、準々決勝の第4打席で放った左中間への二塁打はフェンス最上部を直撃するあわやという一撃で、清宮の力強さと柔軟さをこれ以上ないくらい見せつけられた。
しかし、甲子園の記憶が薄まれば際立っていた存在感も先細っていく。昨年夏の大会以降、'16年春の選抜を逃し、春の東京大会は2回戦で伏兵の都立昭和に2対6で敗れている。西東京大会を目前にした現時点で高校通算は50本塁打に達しても、甲子園という大舞台から遠ざかれば1本のホームランの重みが軽くなっていくのはどうしようもない。
今年の夏は清宮の高校2年間が試されるだけでなく、日本のスーパースターを輩出するメカニズムが正常に作動しているかどうか、日本球界の活力が試されていると言ってもいい。