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ハリルホジッチが語るEURO展望。
「クロアチアは今や優勝候補だ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAP Photo/AFLO
posted2016/06/24 17:30
決勝点を挙げたクロアチアのイバン・ペリシッチ。12年ぶり2度目のスペイン撃破に貢献した。
グループリーグ最大の驚きはウェールズとアイスランド。
さらにフランスも、真の姿をまだ見せてはいない。地元開催で優勝への大きなプレッシャーがあるのだろうが、守備のブロックは予想外に低く、攻撃も個の力が頼りで組織的なアグレッシブさがない。ポール・ポグバ、アントワン・グリエスマン、ブレイズ・マテュイディら主力に疲れが見えるのも気になるところだ。
そうした国々に比べイングランドは、ここまでとても良くやっている。高い位置からプレスをかけてボールを奪い、アグレッシブなスタイルを貫き通している。問題はその攻撃がアバウトで、アイディアに乏しいことだ。また、選手のクオリティは高いが、大会を勝ち切るまで戦いぬけるかというところでは十分とはいえない。
グループリーグでの最大の驚きはウェールズとアイスランドだ。ウェールズは守備がよく組織され、攻撃ではギャレス・ベイル、アーロン・ラムジーのふたりが違いを作り出す。アイスランドにはウェールズのような個の力はないが、フィジカルと戦いでの強さがあり、特に空中戦でのアグレッシブさは特筆に値する。
組み合せの偏りでクロアチアに決勝への道が開けた。
25日から始まる決勝ラウンドは、組み合わせに大きな偏りが出来たことで、クロアチアに決勝までの道が開けた。大会前から私はクロアチアをダークホースに推していたが、今やクロアチアが優勝候補の本命だ。
クロアチアは数年前からグループが固まり、チームの雰囲気がとてもいい。今はそこに新しい選手たちが加わった。マテオ・コバチッチやマルコ・ピアツァ、マルコ・ログ、シメ・ブルサリコなどで、コバチッチやブルサリコは私がディナモ・ザグレブの監督だった当時に、トップチームに引き上げて起用した選手たちだ。
チームはコレクティブで選手層も厚いから、大黒柱であるルカ・モドリッチの負傷欠場もスペイン戦ではほとんど気にならなかった。そこがズラタン・イブラヒモビッチやクリスティアーノ・ロナウドの力に頼りきっているスウェーデンやポルトガルとの違いだ。