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青木、岩隈、カノらが語るイチロー。
「数字じゃ測れない。選手にはわかる」 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byNaoya Sanuki

posted2016/06/23 11:00

青木、岩隈、カノらが語るイチロー。「数字じゃ測れない。選手にはわかる」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

開幕前は出場機会を危ぶまれていても、気づけば打席に立っている。ここ数年繰り返されるその光景にも、イチローの凄みの一端があるのだろう。

カノ、マルティネスはイチローの記録を称賛。

「場所なんて関係ないよ」

 そう言ったのは、ヤンキース時代の同僚、ロビンソン・カノ二塁手である。「場所」とはもちろん、「記録を積み重ねた場所」という意味だ。日本プロ野球での安打数をメジャーリーグのそれに合算することに異議はあって当然。だがカノは、青木と同じように選手としての立場からイチローの凄さを認識している。

「こういう大記録はメジャーリーグでもしっかりと準備して、プレーして成功することができるからこそ達成できるもの。彼が毎日、どれだけ努力しているのかは知っているし、プレッシャーだってあっただろう。素晴らしい記録だよ」

 マリナーズの現在の打撃コーチは、2001年にイチローがマリナーズに移籍した際の指名打者エドガー・マルティネスである。同コーチはカノとは違った言い方で、イチローが達成した記録の本質的な部分を口にする。

「彼がメジャーリーグに来た時すぐに分かったのは、とても規律のある選手で、ゲームの中でも決まったルーティンをこなすということだった。彼は最初から、いつも彼自身であり続けることができた。そういう選手はなかなかいないし、そういう選手だからこそ、こういう記録も達成できたんだよ」

現役時代を見ていない王、長嶋よりも。

 似たようなことを、岩隈久志も口にする。

「WBCで一緒のチームでやらせて頂いた時から、ゲームに対する姿勢とか、勉強になることが幾つもあった。分刻みに動いているし、プロフェッショナルだなと思う」

 岩隈は青木と同じように「イチローに憧れた」世代だ。打者と投手という違いはあるが、少年時代は「振り子打法を真似していた」らしい。

「たとえば王(貞治)さんとか長嶋(茂雄)さんは、現役時代を見て育ったわけではないので、僕らには正直、よく分からないところもあるんです。でも、イチローさんはテレビで見ていて『カッコイイ』と思っていた存在。WBCやマリナーズで一緒になって、間近で見られた上に、応援できたってことが嬉しかった」

【次ページ】 イチローが望む「抜かれること」。

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