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過去のデータを覆し続けるイチロー。
42歳で果たした「V字回復」の裏側。
posted2016/07/03 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
Amazing!
今季のイチローの活躍ぶりを表現するには、この言葉がぴったりだ。42歳でこれだけの打撃技術を見せ、ヒットを量産したメジャーリーガーは記憶にない。
開幕前、所属するマーリンズはイェリッチ、オスーナ、スタントンの3人の外野手を「コア」に据える方針が決まっており、イチローのポジションは極めて不安定だったが、シーズンが進むにつれて出番が増えている。月別の成績を見てみよう。
4月 30打数 10安打
5月 57打数 18安打
6月 68打数 25安打(6月29日まで)
最近では6月29日のタイガース戦のように、インターリーグの試合であればDHで起用されることは既定路線になっており、イチローは実力でポジションを取ったと言っていい。
3000安打はカウントダウンに入っているが、オールスター前に達成するかどうかがひとつのポイントになる。
そしてこのままの調子を維持できれば、来年の契約も確実になるだろう。打率で3割以上、出塁率も4割を超えて、OPS(出塁率と長打率を足したもの)で.800近い数字を残す選手を放っておくはずがない。
シーズンを前に成績予測をするのも恒例に。
来季、43歳のイチローはどんな数字を残すのだろうか? そんなことも気になってくる。
近年、アメリカでは選手の成績の予測が盛んに行われている。データを基にして、どれだけの結果が期待できるのか、シーズン前に発表するのだ。ファンだけでなく、おそらく球団の中にもそうしたデータを活用しているところもあるだろう。