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青木、岩隈、カノらが語るイチロー。
「数字じゃ測れない。選手にはわかる」
posted2016/06/23 11:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Naoya Sanuki
「光り輝いていた」と青木宣親は言った。
イチローに初めて会った時のことである。2006年2月のWBC日本代表の初練習、福岡でのことである。
「『イチローさん』とすら言えない雰囲気だった。『ああ、イチローだぁ~』って感じ。子供のような眼差しだったかも知れない」
イチローに憧れた世代が、第1回WBCの日本代表には大勢いた。青木宣親、川崎宗則、西岡剛……等々。彼らにとってはオリックスの「イチロー」ではなく、マリナーズの「ICHIRO」であり、誰ひとりとして「生イチロー」を至近距離で見たことがなかった。
準備の段階から、誰もがイチローの一挙手一投足に注目した。
「打撃練習もティー(打撃)も何もかも特徴的だった。打撃だけじゃない。肩が強いという印象もあったし、足も速いし、何をやらせてもスペシャルな人。そういう人でなければ光り輝いてなんか見えないでしょ?」
「数字はイチローさんの凄さのモノサシにならない」
青木は何度か「イチローの後継者」的な語られ方をしてきた。足の速いリードオフヒッター。巧みなバットコントロール。そして、シーズン200安打。ただし、本人はイチローと比較されることなど、まったく考えもしなかったという。
「200安打とか、そういうことじゃないんですよ。数字はイチローさんの凄さを語るモノサシにはならない。やってる選手には分かる」
メディアやファンの間では数字や記録で語られることの多いイチローの凄さが、選手の間では数字や記録では測られていないという不思議。
数字――。6月15日にイチローが達成した日米通算4257安打という記録は、米国でもかなり注目された。その数字がピート・ローズのメジャー通算最多の4256安打を超えたからである。当日はローズの毎度お馴染みの「日本での数字なんて認めない」発言も、ご丁寧に取り上げられていた。