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森繁和の心の奥には根本陸夫が――。
中日に実力派ドミニカンが集まる理由。 

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伊藤哲也

伊藤哲也Tetsuya Ito

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/06/21 11:00

森繁和の心の奥には根本陸夫が――。中日に実力派ドミニカンが集まる理由。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

対戦前、千葉ロッテのドミニカン、ヤマイコ・ナバーロと会話する森ヘッドコーチ。

森の心の奥深くに息づく、根本陸夫の志。

 2008年オフに、わずか年俸3000万で獲得したブランコもしかりだ。

「日本で成功したい」

 その強い気持ちと類い稀なパワーを評価した森ヘッドは、タイロン・ウッズの後釜として獲得。来日1年目で全戦で4番に座り39本塁打、110打点で二冠王に輝いた。

 そして今季の4番を任せるビシエドは、昨冬のドミニカ視察の折に、フロリダに渡って獲得した選手である。

 年齢も若く、メジャーの実績もありビシエドは年俸1億7000万円で入団にこぎつけたが、その他のナニータ、ジョーダン、バルデスというチームを支える「ドミニカ軍団」は年俸3000万前後と格安の部類に入る。

 中日はそんな実績を高く評価し、2014年からは、森ヘッドコーチに新たに国際渉外担当の肩書をつけた。

 ただ、現場を預かる首脳陣が現地に足を運び、外国人選手獲得に動くのはやはり異例。他球団を見渡しても、ここまで熱心にパイプ作りに励む人材は少ない。

 そんな森ヘッドコーチを駆りたてているのが、西武で現役時代を過ごした際の恩師といえる根本陸夫氏の存在だ。

「オレはコーチになった後も、根本のオヤジに『ユニホームを着るのは50歳まででいい。後は編成に入って、チーム作りをしろ』って言われてた。何かの巡り合わせでこうしてまだユニホームを着ているけど、この仕事(編成面)のやり甲斐もある」

 胸の奥底に残る恩師の言葉とともに、現場と渉外担当の二足のわらじを履き続けてきた。決して治安の良くないドミニカで、銃を向けられ危険な場面に出会ったのは1度や2度ではない。

 それでも、61歳の男は新たなターゲットを求めて何度でもやってくる。カリブ海に浮かぶ野球大国の地に。

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