サムライブルーの原材料BACK NUMBER
細貝萌がトルコで手にした充実の時。
理不尽な冷遇から、新天地で得た愛。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2016/06/14 07:00
トルコで日に焼けて、逞しくなったように見える細貝萌。彼の激しいディフェンスは、地元ブルサでも愛されている。
カテゴリーよりも、自分を評価してくれるクラブで。
細貝は言葉を続ける。
「年齢を重ねて経験も増えてきて、自分のなかではより気持ちをベースに、サッカーをしたいなと思います。人間性を大事にしながら、プレーで表現できればいい。サッカーに対する気持ちは年々上がっているし、これからの自分が楽しみなんです」
来季、彼がどこでプレーするかは現時点で決まっていない。ヘルタ・ベルリンとはあと1年契約を残しており、ヘルタ復帰、ブルサスポルへの完全移籍、あるいは新天地への移籍という3つの選択肢がある。細貝自身「どうなるかは分からない」と苦笑いを浮かべる。
大きな条件としては一つだけ。
「たとえ1部だろうが2部だろうがカテゴリーは関係なくて、自分を評価してくれて、自分がベストを尽くせるクラブでプレーしたいという気持ちが強いです。でも今まで、いろんなところでプレーしたけど、失敗だと思ったことは一度もない。どのクラブでもいい経験をさせてもらっていますから」
サッカーの神様に、彼はそう感謝した。
ヘルタの苦境もトルコの熱狂も、通らなければならない道だったのかもしれない。
細貝萌という誰にも真似できない、オンリーワンの存在となるために。