サッカーの尻尾BACK NUMBER
スペイン唯一の問題はFWの“二択”。
ビジャ&トーレスの後継は現れるか。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2016/06/10 17:00
35歳にして代表シーンでの国際大会に初めて臨むアドゥリス。一花咲かせることができるか。
スペインの黄金期に目立ったのは常にMFだった。
興味深いのは、デルボスケが「ひとつの有力なオプション」とする、モラタとアドゥリスの同時起用だ。モラタをサイドに開かせ、中央にアドゥリスを置く、3月の代表合宿で何度も試した形だ。前線の重みは増え、何より点を取ろうという意識をチームに植え付けることができる。
2008年前後に始まるスペイン黄金期において最も賞賛され、目立ったのは、常にミッドフィルダーたちだった。
2008年のマルコス・セナの存在感は圧倒的だった。シャビとイニエスタはバルサ色を代表に持ち込み、2010年からはそれにブスケッツが加わった。シャビ・アロンソの貢献も忘れ難い。
ビジャとトーレスの後継者が出てくるか。
中盤が生んだスペインの時代ではある。
しかし、結局のところユーロやワールドカップでスペインが結果を出すことができたのは、ふたりの頼もしいセンターフォワードがいたから、である。
ビジャとトーレスだ。
彼らはパサーから届くボールを、次々と押しこんできた。ビジャの代表での得点数を超えるストライカーはしばらく現れないだろう。トーレスほどの大舞台の強さを持った、華と幸運を兼ね備えた選手もだ。
彼らがいなければ、パスを回すだけで終わる、チャンスを作るだけで終わる、悪い時のスペインで終わっていたはずだ。
このふたりが選手としてのピークを越え、緩やかに降下してきた時期と、スペインの衰退の時期は見事に重なっている。
今大会のスペインの出来を左右するのは、この国の象徴でもあるミッドフィルダーではない。
アドゥリスか、モラタか、あるいはノリートか。
最後に決める点取り屋が出てくるかどうか、である。