サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
清武弘嗣は「代表の中心」になるか。
過去最高のしゃべりとチーム意識。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/06/10 11:40
ブンデスリーガでは2度の降格を体験したが、攻撃的なチームが合うとかねがね言われていた清武弘嗣。新天地でどんな成長を見せてくれるだろうか。
いい攻撃のシーンには、いつも清武がいた。
結局、本田も香川も怪我のためにボスニア・ヘルツェゴビナとのキリンカップ決勝には出場できず、清武は再びトップ下としてスタメンに名を連ねた。
15分の自身のシュートがGKとクロスバーにはばまれたシーンだけではなく、12分の宇佐美貴史や25分の浅野拓磨のシュートなど、序盤からほとんどのチャンスに清武が絡んでいた。そして28分には、宇佐美のクロスに倒れ込みながらあわせて、先制ゴールをつきさした。
ただ、直後に同点ゴールをゆるしてからチームの攻撃は停滞。後半に入ってからも攻撃が単調になった部分もあった。
「後半は単調になってしまったり。相手が引いたなかで、パスコースがたくさんありすぎて、自分たちがそこでつなぎすぎて、カウンターを受けるシーンが多々あったので……」
ボスニアの選手の派手な喜び方を目撃して。
後半21分に逆転ゴールを許してからは、清武はチャンスメイクというよりもフィニッシュに直接つながるようなプレーを意識しているように見えた。
「麻也くん(吉田)とモリくん(森重)が押し上げて、ハセさん(長谷部)とワタル(遠藤)が高い位置を取ってくれて、僕が下がって受けても単にボールを触るだけになるので、相手の最終ラインで一瞬の動きで勝負しようと思っていましたし。そういう意味で、改善すべきことがあった。実際にチャンスはありました。でも、試合が終わってそれを後悔しても遅いし、残念ですね」
結局、1-2で試合終了を告げるホイッスルがなると、清武は1分近くも両足に手をあてて、悔しさをかみしめていた。傍らでは、ボスニアの選手が大きなタイトルをつかんだように肩を組み、歌いながら、キリンカップの優勝を祝っていた。
「目の前でああいう光景をみたというのは自分もショックですし、絶対に負けたくないです」
試合後にそう話した清武もまた、ボスニアの選手たちと同じように今回のキリンカップを大切な機会と捉えていたのだ。