沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
絶対能力、ハイペース、戸崎の騎乗。
ストレイトガール連覇の背景を探る。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/05/16 11:20
マイラーというよりもスプリンター、という気配の強いストレイトガールだが、強い勝ち方での連覇となった。
スピード勝負でこそ物を言うマイル適性。
レースレコードの1分31秒5という勝ちタイムが、この馬の能力の絶対値の高さを示している。
強い馬が、展開を味方につけて勝った、というのがひとつ。
もうひとつ、勝敗を分けたのは、マイルへの適性だ。
1番人気に支持されながら、追い込み及ばず2着に敗れたミッキークイーンの浜中俊は、「勝ち馬の後ろにつけられたが、相手はマイル適性が高く、ギアの入り方が違った」と語った。
また、ミッキークイーンから鼻差遅れた3着に終わったショウナンパンドラの高野友和調教師は、こう話した。
「一番の敗因は、伸び上がるようなスタートになったことです。地力を見せることはできましたが、求めていた着順ではなかった。この馬よりマイル適性のある馬がいた、ということです。4コーナーでポジション争いに負けたのも、マイル向きのスピードが足りなかったからだと思います」
東京のマイルは底力型が強いはずだが……。
そして、7、8番手で流れに乗り、5着に来たルージュバックのクリストフ・ルメールは、「マイルは久しぶりだったので、直線での反応が少し遅かった」とコメントした。
ミッキークイーンもショウナンパンドラもルージュバックも、マイルより長いところで強さを発揮してきた、いわば「底力型」である。
広く、直線が長い東京のマイルは、距離を縮めて臨んでくる底力型の馬のほうが、生粋のマイラーや、距離を延ばしてくるスプリンターより力を出せるコースと言われているが、このヴィクトリアマイルは、マイル戦でしばしば求められる小脚(こあし)や、スピードのある馬に軍配が上がった。