熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
苦闘する湘南・曹貴裁監督の日記より。
「それでも全員で電車を進めていく」
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/04/06 12:30
チームとしての戦い方は良かったが、試合は紙一重で敗北に。曹監督「すごくもったいない試合だった」。
岡田武史「勝負の神様は細部に宿る」
●4月1日(金)
明日対戦する神戸は非常に球際がタフなチームなので、個人の球際での勝負だったり、中盤でのボールの奪い合いの攻防で勝っていったチームが主導権を握るのではないかと予想される。ただし、以前日本代表監督を務めていらした岡田武史さんが「勝負の神様は細部に宿る」とおっしゃっていたように、主導権を握って戦術的にほぼ完璧な試合を進めても、ひとつの流れを崩すプレーで相手に流れを渡してしまうことが多々ある。パーフェクトな準備というものはありえないが、そういう一瞬の隙を作らないチームづくりをしてきたつもりだし、やるべきことはやった気持ちでいる。今日も相手の対策、セットプレーの確認、その他やるべき準備をし、明日のスタートメンバーの選定も終えた。
選手も勝利を求めているし、大怪我をしてしまった菊地俊介をはじめ全員で戦っていくことが我々の勝利の確率を上げることは間違いない。
<試合結果>
4月2日(土)J1・1stステージ第5節
湘南1-2神戸
(@Shonan BMWスタジアム平塚)
11分、MF菊池大介が左サイドから放ったシュートがゴールに吸い込まれ、湘南が先制点を奪う。しかし直後の14分、GK村山智彦のクリアボールがチャージをかけたペドロ・ジュニオールに当たり、パスを受けた渡辺千真に同点ゴールを許す。さらに34分にはゴール前の混戦から押し込まれ、神戸が逆転。後半、初勝利を目指す湘南は攻勢をかけるも、神戸DF陣にことごとく跳ね返された。
<試合を終えて>
――試合後のインタビューで、敗戦にもかかわらず「手応えを感じた」と語っていたのが印象的でした。
「相手の良さを全く出させなかったという試合ではなかったけれども、一方で我々の良さも出しつつ相手のストロングを抑えるというゲームプランにおいては全然悪い試合ではなかったと思っています。何より選手がピッチで自立した雰囲気を出せるようになってきたし、目の前の問題を解消できるようになってきた。その手応えを確信に変えるためには勝点3が必要。そこにたどり着くためにも、ぶれずにやっていかなければならない」
――4月1日の日記で「ひとつの流れを崩すプレーで相手に流れを渡してしまうことが多々ある」と書かれています。そのようなプレーに対しては選手にどのようなメッセージを発信したのでしょうか。
「試合から一夜明けて選手に改めて話したのは、失点につながったミスはとかく大きく取り沙汰されがちだけど、個人として結果を出せなかったという意味では決定的なチャンスを決められなかった選手も同じだということ。ピッチに立っていなかった選手も含めて、また全員で電車を進めていかなければならないと考えています。横道に逃げて問題から目を背けていては、物事は間違いなく好転しない。監督として強がりを言ったり、無理矢理ポジティブな方向に持って行こうとしているわけではなくて、我々は今年『挑越』というテーマのもと、常にチャレンジャーとして相手をリスペクトしつつも自分たちのスタイルの前進に力を注ぐ。そういう前提でやっている以上は、それを崩してしまったらこの先試合をやる意味がなくなってしまう」