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柏木陽介を広州恒大がリスペクト?
徹底マークに「喜べばよかったな」。
posted2016/03/24 08:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
AFLO
少し時間を置いたからこそ、あらためて感じることもある。3月16日のAFCチャンピオンズリーグ広州恒大(中国)戦を終え、帰国した後の柏木陽介(浦和レッズ)は、まさにそんな思いにあった。
試合から数日後の浦和練習場。軽めの調整を終えた柏木に話を聞くと、少しばかりの後悔を感じさせるような言葉を発した。
「パウリーニョがマンツーマンで来てくれたということは、向こうの監督さんに起点と思われたんだと思うけど、それに対して何も応えることができなかった。印象付けることをしたかった……」
もとより、浦和の入ったグループは大会屈指の“死のグループ”と呼ばれている。なぜなら、このグループには浦和、浦項スティーラーズ(韓国)、広州恒大といったアジア王者を経験しているチームに加え、AFC加盟前にオセアニアを制した経験のあるシドニーFC(オーストラリア)が揃ったからだ。つまり、自力でクラブワールドカップに進出したクラブがズラリと勢ぞろいしていることになる。
「広州には良いサッカーして勝ちたいよね」
そうした組み分けになったことについて、誰よりも喜んでいたのが柏木だった。開幕前に話を聞いたときにも「逆に良いでしょ。楽しみ。強いチームと最初に当たった方が良いから。それでこその大会だと思う」と、目を輝かせた。そして、昨季のチャンピオンである広州のことも強く意識していた。
「広州なんて当たれて良かったと思うくらい。強い、強いと言われているけど、うちの方が強いと思っているから。前の選手は凄いけど、それ以上に良いサッカーができているのがうちやと思っているし、広州には良いサッカーして勝ちたいよね」
そうした思いがあって迎えた広州戦で、柏木は昨季からの定位置のボランチではなく、2シャドーの一角として先発出場した。ところが、試合は前半14分までに2点リードを許す苦しい展開。浦和の得意とする後方から丁寧にビルドアップするサッカーは見せることができず、押し込まれる時間帯が長く続いていた。