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柏木陽介を広州恒大がリスペクト?
徹底マークに「喜べばよかったな」。 

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轡田哲朗

轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada

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posted2016/03/24 08:00

柏木陽介を広州恒大がリスペクト?徹底マークに「喜べばよかったな」。<Number Web> photograph by AFLO

マークマンとしては世界有数の守備力を誇るパウリーニョ。彼をかわせれば、世界は一気に近づくはずだ。

浦和が1点を返すと、パウリーニョが柏木のマークに。

 それでも前半30分に相手GKのミスもあり武藤雄樹のゴールで1点を返すと、浦和がボールを持てるようになりだした。すると、広州の守備組織は変化した。ブラジル人MFのパウリーニョが、柏木に対して警戒感を強めるポジションを取りだしたのだ。浦和が最終ラインでボールを保持している時に、広州の8番はスッと浦和の10番の背後に迫る。柏木が危険な存在であると認識したからこそだ。

 これはチームの中心選手の宿命であり、Jリーグでも慣れていたはずだ。しかし、試合中の柏木は、それに対して「嫌だな」と思ってしまったのだと振り返った。それが、冒頭の言葉につながった。

「元ブラジル代表に付いてもらった時に、それを跳ね返すような力がまだ足りないと思った。試合の時に、もっとマンツーマンを喜べば良かったなと。素直にね。終わってから、『ああ、来てくれたんや』と思ったけど、やっている途中は嫌がっている自分がいたから。こういう有名な監督と選手にマンツーマンを付けてもらっていると喜んで、楽しんでやればもっと違った観点でサッカーができたのかな。それがもったいない」

スコラーリとパウリーニョに警戒されるということ。

 後半途中に選手交代があり、柏木はボランチに下がった。それでも、「ボランチに下がっても、前に出てこようとしていた」と話したように、柏木がボールを受けて前を向くと、必ずと言っていいほどパウリーニョが前に立っていた。それも、寄せすぎてワンツーでかわされるような愚は犯すことなく、ゴールに直結する縦パスを制限する位置に立ち、サイドへの展開を強いるような守り方だった。つまり試合が終わるまで、パウリーニョは起点としての柏木に対する意識を切っていなかったということだ。

 敵将のルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、ブラジル代表を率いてワールドカップを制した世界的な監督だ。そして、パウリーニョも、ブラジル代表として32試合のキャップ数を持つ選手である。いかに相手を上回って試合に勝つか、相手のキーマンは誰なのかという感覚を修羅場で磨いてきた2人に、浦和の危険人物として認識された。試合が終わってみて、少し時間が経って落ち着いて思い返した時に、その価値に気づいたのだ。

【次ページ】 相手が引いている時に、かわしきる力。

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