プロレスのじかんBACK NUMBER
崩れ落ちた飯伏幸太が怪しい復活。
「プロレス研究所」ってなんだ?
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2016/02/26 18:00
昨年のG1。棚橋をロープ越しにジャーマンで放り投げた飯伏。試合後、棚橋をして「飯伏がいればプロレス界は安泰なんじゃないですか」と言わしめた。
DDTと新日のはざまで……“住所不定”になった飯伏。
のちに棚橋の発言は、団体対抗戦として最高の空間を生み出すことができなかったという自責の念から出た言葉だったことがわかるのだが、当然、DDT側はこの棚橋の発言に強く反発をした。
「あのとき……自分としては棚橋さんのほうに乗っかったんですね」
両団体で試合を経験している飯伏にとっては、実感として、この棚橋の発言が問題だとは感じなかったという。
だけど、DDTの素晴らしさも知っている。
アイデンティティが音を立てて崩れ落ち、“住所不定”となった瞬間だった。
「怪しい動きをしていきたい」
「DDTにも新日本にも感謝しています」
これまでのスタイルのプロレスは、すべてやりきったと感じている。
今後は、“飯伏プロレス研究所”と称し、常に新しいプロレスを研究、模索していく立場に立ち、「怪しい動きをしていきたい」と語る。
トライはエラーを起こすためにするようなものだ。
だけれど、本人が一番よくわかっている。
前人未到のことをやり続けていないと、たぶん、また壊れてしまうということを――。