プロレスのじかんBACK NUMBER
崩れ落ちた飯伏幸太が怪しい復活。
「プロレス研究所」ってなんだ?
posted2016/02/26 18:00
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph by
Essei Hara
いま思えば、最初から無理だったようだ。
だけど、前人未到のことだったから、やってみないとわからなかった。
飯伏幸太の、DDTと新日本プロレスの2団体同時所属のことである。
2月22日、DDTの事務所で会見が行われ、飯伏幸太がその両団体を退団することを発表した。
どちらか一方を、ではなく、一気に両団体を離れることに決めた。
飯伏は、昨年9月にDDTの2大会を体調不良で欠場し、10月25日の後楽園ホール大会でも緊急欠場をしていた。以前から左半身の不調を感じていたので精密検査をしたところ、頸椎椎間板ヘルニアと診断される。日常生活を送ることに支障はないが、プロレスの試合は当面無理との医師の判断により、そのまま無期限の長期欠場に突入となった。つまり、公の場に姿を現したのは4カ月ぶりであり、この欠場中に退団という決断を下したことになる。
もともとDDTの所属選手だった飯伏は、新日本から要請される形で、2013年10月より2団体所属となった。
「2団体所属なんておもしろすぎるな」
飯伏本人もこのプランに興奮し、いつか2団体でトップに立つことを夢見た。
両団体からプロレスのいい部分を抽出し、DDTではDDTの流儀にのっとり、新日本は新日本のスタイルにのっとったうえでトップに立つ。
結果的に、その夢は2年半で潰えたことになる。
いつの間にか満身創痍になっていた飯伏。
この欠場中、しばらくリングから遠ざかってみてわかったことは、身体のいたるところに痛みがあること。
たとえば手首や手の指、足首や足の指だったり。プロレスで連戦をしているときは、その痛みに対して自分の中で気づいていないふりをしていた。いちいち気にかけていると、試合なんてできなくなるから。さらに腰にも違和感があったので、検査を受けてみたら腰椎すべり症が発覚した。このすべり症は悪性の病気ではないので、安静にしていることで快方に向かっている。ほかの箇所も、このオーバーホール中にほぼ良くなった。トレーニングも再開している。つまり、プロレスはすでにできる状態にある。
しかし――。