プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUよ、早くモウリーニョ招聘を。
堕ちた名門に必要なのは即効性!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/02/27 10:40
ファンハールは、マンUでの契約が終わったら監督を引退すると語ったこともある。
モウリーニョ招聘を急かすメディアも。
悪夢のようなデンマーク遠征の4日前には、『サンデー・タイムズ』紙のスポーツ・セクション第1面に、ベンチで目を伏せるファンハールの写真と「眠りに落ちて星も落とす」との見出しが躍った。降格候補のサンダーランド相手の敗戦(1-2)という結果といい、写真のトリックとはいえ居眠りしているように見える指揮官の姿といい、現体制の「限界」を痛感させる1ページだった。
同紙は、マンUがジョゼ・モウリーニョ招聘の機会を逃す危険にも言及していた。モウリーニョを逃す手はないとする論調は、その後もメディアで強まる一方だ。大衆紙では「就任確定」とまで伝えられている。
筆者もチェルシー・ファンとしては胸が痛むが、マンUはチェルシー前監督がしびれを切らす前に雇用契約をまとめるべきだと考える。
マンUがマンUらしい姿に戻るためには、2013年のサー・アレックス・ファーガソン監督勇退と共に失ったイングランドの雄としての風格を取り戻す必要がある。その点モウリーニョは、通年で指揮を執った5シーズンで3度のプレミア優勝歴を誇り、改めて復興を目指すクラブで勝者の自信という土台を築く適任者。その新監督候補を明日にでも雇い入れられる状況にあるのだから。国内ライバルの元監督とはいえ、ファーガソン勇退時から「後任はモウリーニョしかいない」との声があり、大方のマンUファンにとっても納得の人選となる。
3年前に招聘が見送られた理由は、品位。
もっとも、フロントが就任要請に踏み切れずにいる理由も、まさにモウリーニョ自身にあるのだろう。3年前の時点では、マンU指揮官としては品位に欠けるとの理由から雇用が見送られたと言われている。たしかに彼には、審判や対戦相手の監督に対して物議を醸す言動が付き物ではある。
加えて、来季のプレミアでは地元ライバルのマンチェスター・シティでジョゼップ・グアルディオラが指揮を執ることが既に決まっている。もしモウリーニョがマンUを率いることになれば、監督同士としても「天敵」を相手にすることになるマンチェスター・ダービーでは、間違いなく会見場から火花が激しく飛び散ることになる。しかし、好戦的な姿勢は試合前後の会見を戦いの一部とするスタンスによるもの。試合を優位に戦うための神経戦は、ファーガソンの常套手段でもあったはずだ。