マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
平沢大河は打撃も守備もすでにプロ!
ロッテ合同自主トレで見た“商売人”姿。
posted2016/02/15 12:10
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
この冬は腰を痛めて往生している。
寒い日に両親の墓参りに出かけ、冷たい風の中に長く立っていたせいかもしれない。
帰りの電車に乗ってシートに腰掛けた瞬間、腰にメリッときた。「やったな……」といやな予感がして、その先は痛みがひどくなる一方。
しばらくは温めたり、痛み止めでごまかしたりしたが、一時は痛くない姿勢がなくなってしまって、倒れこんだきり絶叫するばかりという状態に至ってようやく治療に向かう始末だった。
腰のほうはだいぶ楽になったのに、今度は痛みが右足に移って、坐骨神経痛というのだろう、明け方の痛みで目が覚めてしまう毎日を過ごすはめに陥ってしまった。
腰を痛めると、初動が臆病になる。
日常の動きの1歩目で傷んだ腰に負担をかけないように、動き始めがとても慎重になる。するとどういうわけか、仕事にしても、用事にしても、何をするにもいちいちスタートが臆病になってしまうから不思議だ。
そんな流れに身をまかせておくと、悪い循環にはまりそうで怖いのだが、これがどうにもならない。そうはさせじとわが身にムチを入れ、ようやくまとまった話を書き起こそうという心境になったのが、ついここ数日だ。
月へんに要。文字通り、心身の中枢である。まったく、腰は怖い。
早くも“商売人”の姿だった平沢大河。
球界では2月1日からプロ野球の春季キャンプが始まっているが、それに先立って1月に行われた「新人合同自主トレーニング」に何度か足を運んだ。
腰をかばいながらそろりそろりと足を運んだが、いざ現場に着いてしまうと、痛みも違和感も波が引くように消えてしまうから、これもまた不思議なものだ。
球場は強力な“パワースポット”なのだろう。
千葉ロッテの浦和球場に向かう道には、まだそこここに雪が残っていたが、快晴のグラウンドにはすでにもう球春がやって来ていた。
ドラフト1位で仙台育英高から入団した平沢大河遊撃手。
ショートのポジションでノックを受けるその姿が、もう何年もそこで打球をさばいている“商売人”そのものだった。