サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
韓国相手に達成した最後の“宿題”。
「逆転できない」を払拭した3ゴール。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/31 12:00
2ゴールともに、“ジャガー”という愛称に相応しいスピードを発揮した浅野らしい形だった。
今のスタイルを変えず、長所を伸ばしてほしい。
アジアでの最終予選は終わった。
今後も、今のチームスタイルを変えず、最終予選で培った長所を伸ばしていくべきだろう。守備ベースのチームは、なによりも安定感が強みだ。ベスト4に入ったロンドン五輪代表も、アジア予選ではボールをつないで攻撃的に戦うサッカーを展開していた。だが、世界の強豪にそのスタイルで勝つには、圧倒的な攻撃力と決定力が求められる。その力がないことを自覚した日本は守備重視のサッカーにシフトし、本大会で結果を出した。
2010年南アフリカW杯もしかりである。攻撃的サッカーで世界に挑もうとしたが、直前の親善試合で強豪相手に歯が立たず、アンカーを置く守備的なサッカーに変更した。
おもしろくない。地味だ。
周囲からはそんな声も聞かれるが、日本が世界を相手に結果を出したのは守備的なスタイルを採用した時だ。もちろん攻撃的スタイルで世界に挑んだチームもあるが、2年前のブラジルW杯を思い出すまでもなく、結果はやはり厳しいものになりがちだ。
遠藤は言う。
「最終予選は勝てたけど、内容は満足できるものではなかったです。凌いで勝つという戦い方ができるのはプラスだけど、これで本大会で勝てるというわけではない。これからは攻撃の部分でも、自分たちの良さを出す戦い方をしていかないといけない。それがうまくいかなくなった時にあらためて凌いで戦うというところに立ち返れば、チームとして強くなるし、それがチームのオプションにもなると思うんです」
遠藤の考えは極めてまっとうで、多くの選手がそう思っているに違いない。
そのイメージ通りにチーム作りが進行すれば、アジアで勝てず、五輪出場すら期待されていなかったチームが、シドニー五輪代表や本大会でベスト4に入ったロンドン五輪代表のように飛躍するかもしれない――。
決勝での韓国戦の逆転勝利は、その記念すべき第一歩なのだ。