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福西崇史が語る五輪予選突破の“肝”。
パワー一辺倒ではない相手国に注意。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/22 10:30
U-23チームの調子は右肩上がり。やはり、日の丸を背負っての真剣勝負は選手達を急速に成長させるのだ。
交代選手に共通した「結果を残す」意志。
タイ戦で言えば、久保(裕也)選手です。浅野(拓磨)選手と代わって途中出場すると、その4分後に試合を決定づけるゴール。また自ら得たPKを決めるなど、2得点を挙げました。
続くサウジアラビア戦では、大島(僚太)選手がマーカーをかわしてからのスーパーミドルを叩き込み、北朝鮮戦で出しきれなかった実力を発揮しました。
南野(拓実)選手も、右サイドのドリブル突破から冷静に相手DFの位置を見極め、井手口選手のゴールをアシスト。また、タイ戦では後半33分からの途中出場でしたが、北朝鮮戦に比べると明らかにアグレッシブさが増しました。
彼らに共通したのは“絶対に結果を残さなければ!”という強い姿勢。勝たなければならない決勝トーナメントを前に、その意識づけを徹底できているのはプラスだと思います。
欧州組を呼べていないというイランの弱点。
選手それぞれの競争意識と、チームの勝利に貢献する姿勢。ここまでのチーム作りは歯車がかみ合っているようだ。そんな若き日本代表だが、ここからは一発勝負のトーナメントに臨む。ライバルと目される国は、どのような戦いぶりなのだろうか。
3戦全勝での首位通過。非常にいい流れの日本ですが、決勝トーナメントの相手はさらに厳しい相手になります。
まずは準々決勝で対戦するイランについてですが、やはり個々の能力に関しては高い。イランの伝統ともいえるパワーとスピードは、この世代の選手からも感じます。具体的なプレーを挙げると、攻撃では強引にでもゴール前でシュートに持ち込む姿勢、逆に守備ではシュートを打たせず体を張るなど、フィニッシュの局面での粘り強さです。それに日本の選手が対応できるかがポイントとなるでしょう。
ただ今大会のイランは、最強メンバーで臨めていません。なぜかというと、欧州組を招集できていないから。
昨年10月の日本代表vs.イラン代表で先発したアズムン、昨年のアジア杯メンバーだったジャハンバフシュらといった選手がいません。
またチーム全体を見てみると、それぞれが“自分のやりたいプレー”を優先しているように見えます。つまり、チームとしての連動性はまだ高まっていない。だからこそ日本らしいコンビネーションで上回って、試合を優位に進めてほしいところです。