オリンピックへの道BACK NUMBER
卓球全日本女子ベスト8中6人が10代。
リオだけでなく東京五輪まで見えた!?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2016/01/18 13:00
22歳の石川佳純(右)はこれで3年連続、4度目の全日本制覇。史上最年少で決勝進出した15歳の平野美宇を退けた。
福原「夢だったら」
一方、福原愛は6回戦で加藤杏華に敗れた。昨年は怪我の影響で欠場、今大会には優勝だけを目標に臨んでいただけに、「(この負けが)夢だったら」と涙も見せた。
3ゲームを先取してから4ゲームを失っての逆転負けだ。「守りに入ってしまいました」と気持ちの面で隙が生じたことが敗因の1つだ。また、ラリーでも単調になりがちだった。
昨秋のワールドカップでも同じように3ゲーム先取から敗れているが、加藤との試合では、失点するたびに上を見上げるなど感情を露わにした。精神のコントロールに課題を残したと言える。
今大会は、若い世代の活躍が目立つ大会ともなった。ベスト4には、決勝に進んだ中学3年生の平野、やはり中学3年で団体戦代表候補の伊藤、19歳の加藤と10代の3人が進んだ。そろって初のベスト4入りである。また、ベスト8で見ても10代は6人だった。
伊藤「東京で金メダルを」
中でも目を引いたのは平野だった。準決勝では、対戦した伊藤が「今まででいちばん強くて、中国選手のようでした」と言うほどの強さを見せ、4-0で完勝。決勝こそ石川に跳ね返されたが、ラリーの中で相手のミスを待つこれまでの姿勢だけでなく、自ら攻めていく姿勢への変化が見られた。圧倒した伊藤との試合もそうだが、石川との試合でもフォアハンドの強打などを見せ、食い下がった。
昨年9月にリオデジャネイロ五輪代表の可能性がなくなったあと、コーチが変わったが、飛躍を期してスタイルの転換を図ってきたという。その成果が表れていた。
「東京(五輪)で金メダルを獲りたいです」
スタイルを変えてきたことも含め、リオに出られない悔しさを糧に、先を見据えて進んでいこうという姿勢があった。
地力を上げていることを示した石川、初のベスト4入りで一定の成果をおさめた伊藤は、リオデジャネイロ五輪へ向けて、順当に歩んでいるところを見せた。
福原は、今週から海外遠征へと向かう。数々の経験を積んできた福原だ。課題も自覚しているだろう。今後の練習と大会の中で、その修正と立て直しを図っていくはずだ。それに成功すれば、豊富な経験も生かすことができる。