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15歳の卓球五輪代表・伊藤美誠。
母の猛特訓と、規格外のメンタル。

posted2016/01/26 12:00

 
15歳の卓球五輪代表・伊藤美誠。母の猛特訓と、規格外のメンタル。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2015年9月の段階で伊藤美誠は世界ランキング10位、福原愛と石川佳純に次ぐ日本人3番手につけ、リオ五輪代表に選出されている。

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Takuya Sugiyama

福原愛、石川佳純に続き、3人目のリオ五輪女子卓球日本代表に選ばれた伊藤美誠。
Number894号では、伊藤と、かつて同じ卓球選手だった母へのインタビューを掲載している。
ダブルス、シングルス両方でワールドツアー史上最年少優勝を果たし、世界に大きな衝撃を与えた15歳の少女は、どのように鍛えられてきたのか。そこには取材陣の想像を超えたエピソードがあった。

 関西在住のライター城島充氏と新大阪駅で合流し、タクシーに揺られること10分ほど。マンションや商店が建ち並ぶ住宅街の一角に「関西卓球アカデミー」の入るビルはあった。日本生命卓球部、そして卓球女子日本代表の監督を務める村上恭和が2012年に開いたこの私塾が、伊藤美誠の練習拠点になっている。

 伊藤のインタビューを行うのは昨年2月に刊行したNumber872号「ヒロインを探せ!」以来、約1年ぶり。前回は卓球に青春を捧げる少女たちの群像を描く「ピンポンガールズ!」の中の一人としてだったが、今回はリオ五輪での活躍が期待されるアスリートたちを追う新連載企画の第1弾。前回の取材時点では決して現実的でなかったリオの代表候補の座を、伊藤はみごとに掴んだのだ。

 4月に行われるリオ五輪のアジア予選で、石川佳純と福原愛が実力通りシングルスの出場枠2つを獲得すれば、日本に団体の出場枠も配分される見込みだ。世界ランキングで日本人3番手につける伊藤は、団体戦のメンバーとして五輪の舞台に立つことになる。

「14歳の時はダブルスって感じ」

 現在15歳の伊藤は、1年前との違いをこんな言葉で表現した。

「14歳の時はダブルスって感じ。“みうみま”って感じでしたね。ダブルスがよければシングルスがダメ、シングルスがよければダブルスがダメっていうのが多かったんですけど、2015年は、韓国オープンだったらダブルスで優勝してシングルスは2位とか。そうやって、両方ともいい結果を出せたのでよかったと思います」

 まだ中学1年生だった2014年3月のドイツオープン、同学年の平野美宇と組んだダブルスでワールドツアー史上最年少優勝を果たした時は、賞金額を聞かされて驚く無邪気な表情が話題になった。

 その記憶もいまだ鮮やかな1年後、同じ大会で伊藤はシングルスの優勝者となる。ドイツオープンは、ワールドツアーの中でも最も格付けの高いスーパーシリーズの一つだ。ランキング上位者が集まるこの大会で次々と快挙を成し遂げる中学生が、いかにスペシャルな才能の持ち主かが分かるだろう。

【次ページ】 母の“卓球中継胎教”。

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