プレミアリーグの時間BACK NUMBER
今冬の移籍はプレミア史上最高額!?
バーディー、ベイル、そして武藤嘉紀。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/01/15 10:50
プレミアの移籍市場で存在感を発揮している武藤嘉紀。マンU入りは実現するだろうか。
リバプールから下位まで、ストライカーは人気商品。
獲得競争のライバルはトップ4復帰を狙うリバプール。就任4カ月目のユルゲン・クロップ監督は当初、既存戦力のフル活用を優先して冬の補強は控える意向を示していたが、怪我から完全復帰できそうでできないダニエル・スタリッジの代役を欲している。
リーグ順位表下方で残留を目指すチームとしても、リーグ戦1勝で年を越したアストンビラには絶望感が漂うが、残る2つの降格枠は当事者には嫌なオープン状態。その候補の一角を占めるボーンマスなどは、移籍市場開幕から1週間程度で2000万ポンド(約36億円)弱を費やしてFW2名の購入に踏み切った。同様に、今季20チームの半数は今冬のストライカー獲得が必要だと言える。
武藤は22億円でのマンU入りが実現間近?
その中でも、最も必死にならざるを得ないのがマンUだ。ルイス・ファンハール体制での過去3度の移籍市場に計2億5000万ポンド(約450億円)を投じたマンUは、今冬も市場を賑わせてくれそうだ。
順位こそ21節を終えて6位だが、メディア、ファン、そしてスポンサーからも非難の声が上がっている「相手ゴールへの脅威度不足」は深刻。1月12日の同節では珍しくニューカッスルと打ち合ったが(3-3)、その3日前のFAカップ戦では3部勢を相手にウェイン・ルーニーのPKによる辛勝(1-0)が精一杯。そのPKを含めて枠内シュートが2本しかなかった凡戦後には、スタンドで本当に居眠りするマンUファンの写真までタブロイド紙で紹介される有様だった。
前線での迫力不足が続いて再び連敗でもしようものなら、優勝争い脱落の危険性が高まるだけではなく、今度こそファンハールの首が危ない。となれば、就任以来デイビッド・モイーズそしてファンハールと、マンUの伝統に反する監督短命が続くことになるエド・ウッドワードCEO自身も責任を追及されかねない。これも、大型補強予算が承認されている理由の1つだろう。
年末に噂が浮上した武藤嘉紀の獲得は、移籍金1200万ポンド(約22億円)で実現に近付いていると伝えられる。数度のスカウティングを経て、元監督で現役員のサー・アレックス・ファーガソンも推していると言われる一方で、英国人記者の間では現実的第1ターゲットだったサディオ・マネ(サウサンプトン)よりも所属先の抵抗が少ない上に、移籍金が半額以下という事情が武藤に矛先を向けた理由とする意見も多い。とはいえ、日本人にとっては嬉しい動きだ。