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美しいサッカーの醜い統治者。~ブラッターがガーターを愛していた頃~
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph byAFLO
posted2016/01/15 06:00
処分決定当日の会見でのブラッター。2002年W杯日韓共催の仕掛人の一人でもあった。
ガーター。女性用の靴下留めである。45年ほど前、流行のパンティーストッキング装着は好ましくない、どうしてもガーターでなければ私どもの心は傷つく、という男性諸氏による奇矯な結社が存在した。
その名も「ワールド・ソサイエティー・オブ・フレンズ・オブ・サスペンダーズ」。構成員は「世界16カ国の120人」(アイリッシュ・インディペンデント紙)。とあるスイス人が栄えある会長を務めた。
ゼップ・ブラッター。
いまだ職業は「会長」である。「パンスト」を憎んだ人物は、のちに、豪勢なホテルのロビーでひそひそ話を交わしながら、地球上で最大のスポーツ利権を右から左へと操る大物となった。FIFA(国際サッカー連盟)のプレジデント。公人たる制約がなく、株主への責任からも免れ、なお莫大な報酬と絶大な権力を手にできる。