“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
4-1-4-1は東福岡の“信念”である。
17年ぶり選手権制覇への道のり。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph bySho Tamura/AFLO SPORT
posted2016/01/12 12:25
「最高の舞台で胴上げしてもらえた」と語る森重監督。インターハイ連覇でも拒んだ胴上げが、ついに実現。
インターハイ優勝で断っていた胴上げを。
信念をベースに、選手たちの個性を見極めて、その年に応じたアプローチをする。この緻密なチーム作りの過程で、チームはインターハイ2連覇という偉業をまず成し遂げた。
「僕らは距離感を大事にして、ワンタッチプレーで崩していく。でもそれをするためには、全員がより走らないといけないし、さぼっている選手がいたら成り立たない」(藤川)
森重のアプローチにより、その信念は完全にチームに浸透した。
選手権で17年ぶりの全国制覇を成し遂げ、初めて東福岡にやって来たときに見た光景を、監督という立場で再び見ることが出来た。インターハイ優勝時は胴上げを拒んでいた森重も、全身を選手達に委ね、何度も宙を舞った。
「最高の気分だった。指導者冥利に尽きるね。選手達は本当に成長をしてくれた」(森重)
指揮官と選手の成長。これに目を細めていたのが、志波だった。志波は森重が監督となってから、裏方に回り、今は総監督として引き続きサポートしている。
「僕が彼を見いだしたというより、彼が1つのチャンスをしっかり掴んで、ここまで頑張って来た結果だと思う。森重が監督として選手権優勝を出来たことが本当に嬉しい」(志波)
過去に大きすぎる栄光を抱えた中、盛者必衰ともいえる壁を打ち破ったのは2人の揺るぎない「信念」だった。そして、それはこれからも変わらない。
【4-1-4-1】が紡ぎ出すストーリーは、まだまだ続く――。