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セリエAクラブが3部相手に次々と……。
大荒れのコッパ・イタリアで何が? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/01/05 10:30

セリエAクラブが3部相手に次々と……。大荒れのコッパ・イタリアで何が?<Number Web> photograph by Getty Images

2003年の経営破たんで6部からの再出発を余儀なくされたアレッサンドリアの選手(左)。3部のチームがベスト8に入るのは31年ぶり。

最後のセリエAから半世紀以上がたった弱小クラブ。

 一世一代の戦いぶりを見せたアレッサンドリアは、セリエAの古豪を相手に堂々と準々決勝進出の切符を手にした。コッパ・イタリアで3部クラブが準々決勝へ進出するのは、実に31年ぶりの快挙だった。

 北部ピエモンテ州の人口10万人に満たない町のクラブであるアレッサンドリアは、前身のクラブ創立から1世紀以上の歴史を持つクラブだ。

 ただし、最後のセリエA参戦からもう半世紀以上が経っている。2部セリエBとも40年縁がない。

 強固な財政基盤を望めない地方クラブの例に漏れず、破産と再建をくり返してきた。'03年に当時6部にあたるアマ地域リーグから再出発し、'11年にはサッリ監督(現ナポリ監督)を擁して2部昇格プレーオフを戦うまでに至ったが、シーズン後にカルチョ・スキャンダルの処分を受け、クラブは再破産してアマリーグへの降格を余儀なくされた。

予算は300万ユーロ、ホームの動員は3000人。

 '13年1月からは、39歳の若き会長デマージが経営を切り盛りしている。20年近く前、グレー色の珍しいユニフォームに魅せられると、すぐにゴール裏へ通う熱心なサポーターになった。

 アパレル販売で財を成したトリノの資産家の出だが、財布の紐は固い。クラブ運営予算は年間総額300万ユーロ。ファシズム時代の1929年に作られたオンボロ本拠地に見込める観客数は、せいぜい3000人がいいところだ。貧乏所帯をやりくりしながら、来季の2部昇格を狙う。

 アレッサンドリアは、ジェノア相手の金星から遡ること約2週間、12月2日のコッパ4回戦でパレルモを3-2で破り、国中をあっと言わせた。敵地シチリアに乗り込んでの完勝だった。

 ジェノアもパレルモも今シーズンはリーグ戦で苦戦中とはいえ、実績や年間予算、商売の規模で比較するなら、3部クラブでは足元にも及ばない。

 選手一人ひとりのクオリティにしても、そもそもセリエAにまで上りつめることができるのは、広大な裾野を持つイタリアサッカー界から選りすぐられたエリートだけだ。アレッサンドリアの選手たちとの間には、身震いするほどの格差が隔たっている。

【次ページ】 優秀ゆえに持ちづらい帰属意識。

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