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散々な1年だった'15年のイーグルス。
とにかく明るい楽天は蘇るか!? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/12/27 11:00

散々な1年だった'15年のイーグルス。とにかく明るい楽天は蘇るか!?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

観客3万人収容、天然芝、観覧車、スコアボードLED化、公園のような座席設置……など理想のボールパーク化計画が進む楽天Koboスタジアム宮城。

東北を去ったデーブ。今後は歌舞伎町で!?

 シーズン終了間際にデーブは、「'13年に日本一になって完全に生まれ変わったはずなのに、どうしてこうなったのか」と嘆き節を報道陣にぶつけていた。

 どうしてこうなった――というのは、こっち(ファン)が聞きたいくらいである。

 なにより不可解だったのが10月6日のあれ。ホーム最終戦後のセレモニーでのカミングアウトだった。
「今後は歌舞伎町で居酒屋のオヤジになろうと思います」

 嘘でもいいから国分町と言ってほしかった……。

 ファンはデーブの衝撃発言を振り払うかのように、10月4日に楽天に別れを告げていた斎藤隆の功績を振り返るとともに、6日が引退試合だったチームの功労者、「半袖魔神」小山伸一郎、「イケメン」永井怜の勇姿に思いを馳せたのだった。

 はっきり言って、'15年は悪いことのほうが強く印象に残った。でも、「ミスター楽天」山崎武司が「東北は寒いけど、ファンの心はどのチームよりも温かい」と感涙していたように、東北人は楽天を見捨てない。それどころか、'16年への期待は高まる一方なのだ。

ダジャレ監督と期待の新人で話題性は抜群。

 '13年に楽天を初の日本一に導いた闘将、星野仙一シニアアドバイザーが球団取締役副会長に就任し、GM以上の権限を持つ「プレジデント・オブ・ベースボール・オペレーション」の役割を担うこととなった。

 '01年に近鉄を、'09年には日本ハムをリーグ優勝に導いた梨田昌孝を監督に招聘するなどの速攻劇はお見事。その梨田監督は、数々のダジャレや年末年始の球団の留守録に自らの音声を吹き込んだりと、早くもファンの心を掴んだ。

 梨田監督に呼応するように、ドラフト1位・オコエ瑠偉もファンのハートを早々とキャッチした。「お声(オコエ)がけして」「たくさん塁(瑠偉)に出てほしい」。すでに指揮官のダジャレの餌食となっているオコエは、入団会見で3位の茂木栄五郎からのむちゃぶりで「羽ばたけ楽天イーグルス」を歌わされ、「ら~くて~んイーグル~ス、ら~くて~んイーグル~ス♪ ……すみません、ここまでしかわからないです」。楽天ファン(初心者)の“あるある”を露見し、会場の爆笑を独り占めしたのだった。

 有望な新人が入団し、実家が山形の焼肉屋である元広島の主砲、栗原健太が東北に凱旋した。

 仙台育英の平沢大河はロッテに奪われたが、代わりに今江敏晃が、ヒゲを剃って東北の地にやってきた。そして、平沢と同級生だったチアガールもゴールデンエンジェルスが獲得に成功した。補強は十分。彼らの活躍に期待せずにはいられない。

 ただ今、30億円を費やしコボスタ宮城は大改修の真っ最中。内・外野の天然芝化、「公園席」と称される左中間には観覧車が設置される予定である。

 お前が作ればやって来る――メジャー顔負けのボールパークを楽天が作り、他球団と対等に渡り合える戦力がやって来た、おそらく。

 フィールド・オブ・ドリームス。歓喜の瞬間よ、再び。

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