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散々な1年だった'15年のイーグルス。
とにかく明るい楽天は蘇るか!? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/12/27 11:00

散々な1年だった'15年のイーグルス。とにかく明るい楽天は蘇るか!?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

観客3万人収容、天然芝、観覧車、スコアボードLED化、公園のような座席設置……など理想のボールパーク化計画が進む楽天Koboスタジアム宮城。

将来性を感じさせた「球界最安値の4番打者」。

 それだけだと悲しすぎるので――もうひとつ彼のファインプレーを挙げてみれば、中川大志を積極起用したことか。

 前年までノーアーチだった7年目は、シーズン序盤にサヨナラ弾や1試合2ホーマーと短期間で打ちまくり、一躍「和製大砲候補」に躍り出た。'08年に年俸900万円で4番を打ったヤクルトの畠山和洋よろしく、630万円で主砲を任されたこともあった中川もまた、「12球団最安値の4番」と微妙な称号を得た。

 ちなみに、6月4日以降はノーアーチ。そんなに遠くない将来、畠山のように打点王になってくれれば、それもまたご愛嬌といったところか。

 野手といえば。メジャー仕込みの「Burn!」を'12年から導入し、楽天ファンのハートを文字通り鷲掴みにした、松井稼頭央の日本通算2000本安打も記憶に新しい。

 日米通算では2649安打とゴジラ(松井秀喜)越えも果たしたが、本人は「比べたら失礼」と至って謙虚。他にも、スイッチヒッターでは柴田勲の2018安打を抜き歴代最多を記録したり、日米通算450盗塁、日本通算3000塁打、400二塁打なんかも達成した。

 繰り返すが、いいこともそこそこあったのだ。

チームを混乱に陥れたオーナーの現場介入。

 だがしかし……これらを帳消しにしてしまうくらい「悪いこと」のほうが、ファンの心に深く刻まれてしまったはずなのである。

 嶋基宏、銀次、藤田一也ら主力の相次ぐ故障。平石洋介打撃コーチが練習中に打球が頭部に直撃し救急搬送されたことから、シーズン中では異例のお祓いが6月26日に行われた――ことは序章に過ぎない。

 球界を揺るがせる事件の発端となったのは7月30日。

“オバQ”こと田代富雄打撃コーチが突如退団を発表したことに始まる。低迷するチームと打撃不振がその理由とされていたが、二軍コーチへの配置転換を固辞してまで球団を去った背景には、三木谷浩史オーナーの現場介入が原因とも囁かれた。

 大洋ホエールズ時代に豪打で鳴らした“最後のクジラ”は、捕鯨禁止……もとい、「現場への口出しは禁止」と言わんばかりに東北の地を去ったわけだが、それからほぼ1カ月後の8月29日、今度はデーブが監督辞任を表明。田代コーチ同様、最下位に低迷するチームの責任をとって――とのことだったが、オーナーの現場介入騒動の収束を図るための措置だったとも言えなくもない。

【次ページ】 東北を去ったデーブ。今後は歌舞伎町で!?

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