勝利を優先するか、若手の将来性に賭けるか。

　勝つことを考えたら、おそらく岡本を我慢して使う余裕はない。ただ、勝つことを第一に求めなければ、岡本が競争で最低限の力さえ示せば、将来を睨んで使い切るという選択肢は出てくるはずだ。これは岡本だけではなく、未完の大器と言われて久しい大田泰示外野手や和田恋内野手、ドラフト2位指名のルーキー・重信慎之介外野手（早大）らにも言えることなのだ。

　可能性のある選手は使わなければなかなか伸びきることができない。ただ、絶対に勝つことを最優先している限りは、育成との両立は極めて難しい。この現実を、ファンも理解しなければならないだろう。

高橋新監督を待ち受けているのは苦難の道だ。

　だから、である。

　'16年の巨人に何を求めるのか――。

　とにかく外国人選手をやりくりして優勝争いをしながらでも、若い将来の軸となる選手を育てて欲しい。そのためには……ファンは結果として敗れたとしても責めはしない覚悟を持つことである。

　勝てなくても我慢する前提でチーム改革を見守る。そしてそういうチーム改革に現場だけではなく、フロント、親会社も一体になって挑むことこそが巨人が求められることではないだろうか。そして本当にチームを変えていくには、最低でもその覚悟を向こう3年間は持つことが必要だろう。

　これから3年間は巨人ファンには、もしかしたら忍耐が必要なシーズンとなるかもしれない。ただ、高橋新監督がその道筋を見せてくれれば、ファンは必ず我慢してくれるはずである。そしてその3年間は監督人事に圧倒的な影響力を持つ渡辺恒雄球団最高顧問（読売新聞グループ本社会長兼主筆）ら読売首脳、球団首脳の忍耐力が、最も試される3年間にもなるわけである。