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一時代の終焉を迎えた読売巨人軍。
高橋新監督が背負うチーム再生の重圧。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKyodo News

posted2015/12/31 11:30

一時代の終焉を迎えた読売巨人軍。高橋新監督が背負うチーム再生の重圧。<Number Web> photograph by Kyodo News

現役引退・監督就任セレモニーで「誇れることがあるとするなら、巨人軍で現役生活を全うし、完全燃焼できたことだと思います」とコメントした。

若手を試す余裕のなさゆえのベストオーダー。

 ただ、ここ数年の巨人はその軸を失っていることで、若手の育成のためにオーダーの一つを使うことができなくなっている。そうしてここ数年はソフトバンクの圧倒的な資金力の前に、育成のためにそれを上回るような大金を投じてでも補強も行なっていない。

 だから勝つことを大前提にする巨人には、8番に目を瞑って若手を使う余裕がないのである。特にここ2年は阿部、坂本に村田修一内野手、長野久義外野手らの数字が落ち込み、得点力が下がりまくってしまった。

 そうなると1点を取るために1番から8番まで、とにかくその日のベストを並べる以外に方法がなくなっていたのである。

 その中で'15年のシーズンに原前監督は8月27日に二軍から岡本和真内野手を引き上げると9月19日のヤクルト戦で「7番・三塁」で初先発させ、最終的には10試合で先発起用した。

「一軍に引き上げるギリギリのタイミングだと思ったし、最初は数試合経験させるつもりだった。しかしその中で本人が結果を出した。あれだけ先発で使って10月まで一軍に残したのは本人の力だった」

頭角を現した岡本の起用が'16年の鍵を握る。

 当初は将来に向けて一軍の空気を吸わせることが目的だった。だから優勝争いが激しくなる9月中旬以降ではとてもそんな余裕はないので、引き上げられるギリギリで数試合使うつもりでの昇格だったのだ。

 ところが岡本自身が3打席目の9月5日のDeNA戦で初安打が1号本塁打という華々しい結果を残し、その後もヒットを打つことで一軍生活を守り続けたというのが真相である。

 おそらく'16年のシーズンで最大の目玉になるのは、この岡本をどう起用するかである。

 '15年のオフには台湾のウインターリーグに参加して武者修行を行い、野球漬けの日々を送っている。結果として無条件に'16年は先発オーダーの一角に食い込めるよう結果を残せればベストではあるが、まだまだ一軍に定着するには攻守にスキルアップしなければならないことが多いのも現実なのだ。

【次ページ】 勝利を優先するか、若手の将来性に賭けるか。

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