フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
超人的強さの羽生が再び魅せる!
今季の全日本は歴史的大会へ――。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2015/12/24 15:00
GPファイナル3連覇、フィギュア史上最高得点と異次元の強さを発揮し続けている羽生。
世界選手権代表の二枠目は誰の手に?
今の羽生が世界選手権の代表を逃す、ということは考えにくい。だから現実的に言って、二枠目を残りの男子で競うことになる。
候補の筆頭は、今シーズン好調なシニアGPデビューを飾り、GPファイナルで3位に食い込んだ宇野昌磨だ。バルセロナでほぼノーミスで滑りきったフリーでは、ISUジャッジから5コンポーネンツで9点台も獲得した宇野。18歳になったばかりの彼が、札幌ではどこまで羽生に迫るだろうか。
また今シーズンGPファイナルに到達した村上大介は、バルセロナでのフリーでは本領を発揮できなかった。「全日本では絶対にノーミスの演技をしたい」と語った村上。悔しさをバネとしてこの2週間トレーニングしてきたであろう彼が、札幌ではどこまで実力を見せてくれるだろうか。
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スケートアメリカで怪我の影響もあり10位と不調なスタートを切るも、NHK杯で3位と持ち直してきた無良崇人も、全力を尽くして表彰台を狙ってくるに違いない。
またジュニアGPファイナルで3位だった山本草太は、西日本大会からフリーで二度の4回転をプログラムに組み込んでいる。バルセロナでは成功しなかったが、全日本でどこまで調整してくるかに注目だ。
NHK杯で健闘した田中刑事、今シーズン怪我でGPシリーズ中国杯に出られなかった小塚崇彦らからも、好演技を期待したい。
浅田真央と宮原知子ら若手たちの戦いとなる女子。
一方女子は、男子より予想が困難な戦いになる。バルセロナGPファイナルでは、フリーの日に胃腸炎で体調を崩し6位に終わった浅田真央が、どこまで調整をしてくるかにすべてがかかっているだろう。
10月のジャパンオープンでは素晴らしい「蝶々夫人」を滑りきり、1位だった浅田。だがその後、中国杯、NHK杯、そしてGPファイナルと、フリーではジャンプミスが重なってきた。技術どうこう以前に、彼女の気持ちの中での自信の揺らぎというものが影響しているのかもしれない。
「やらなきゃな、という気持ちが強すぎるのかも」とバルセロナで口にしていた浅田。体力的には以前よりも疲れが翌日に残ると言うものの、今の彼女の滑りには、若かった当時にはなかった大人っぽい味わいが加わってきている。
表現の成熟と技術の維持、という難しいバランスを男子以上に問われる女子。今の浅田真央にしかできない滑りを、存分に見せて欲しいと思う。