プロレスのじかんBACK NUMBER
最後までプロレスは“辛口”で――。
天龍源一郎、堂々たる革命の終焉。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/11/17 16:00
ジャンボ鶴田、阿修羅・原(共に故人)、藤波辰爾(61)、長州力(63)らと半世紀近くも戦い続けたレジェンド。
ジャンボ鶴田も阿修羅・原もいない時代に。
目の前のテーブルに一列に並べられた缶ビールの銘柄はアサヒのスーパードライ。天龍はそのうちの1本を手に掴みながら、話を続ける。
「これは俺が(阿修羅・)原と(龍原砲を)やり始めたときに、世の中に出たビールだったんですよね。美味しかったですねえ。あの頃と同じテイストがするか? ちょっと失礼して……」
ジャンボ鶴田も阿修羅・原もすでに他界してしまった2015年11月15日、オカダのドロップキックを何発も喰らい、最後は必殺レインメーカーで壮絶に散った天龍源一郎は、昔と変わらず男気溢れる天龍源一郎のままだったと思うが、天龍の“革命終焉”を見届けに会場に“戻って”きた人たちの目にプロレスはどのように映っただろうか?
スーパードライを口につける天龍。
「うん、シャープだね!」
あの1987年の走り続けた日々と同じテイストを確認した天龍は、にっこりと笑みを浮かべた――。