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“王様”家長昭博が導いた優勝&昇格。
大宮アルディージャが1年で再びJ1へ! 

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粕川哲男

粕川哲男Tetsuo Kasukawa

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/11/16 11:40

“王様”家長昭博が導いた優勝&昇格。大宮アルディージャが1年で再びJ1へ!<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

昇格と残留がかかった試合は、2点ビハインドから大宮が劇的逆転勝利。土砂降りの雨の中、サポーターたちと喜びを分かちあった選手たち。

重要な試合では、ことごとく決定的な仕事をしていた。

 相手を寄せつけないキープ力、創造性に満ちたパス、精度の高いシュートで攻撃の起点となり、仲間たちの精神的な支えにもなっていた家長は、33試合出場11得点4アシスト(第41節終了時点)という数字でも、その突出した力を証明している。

 金沢との開幕戦、スコアレスのまま進んだ重苦しい空気を打ち破る終了4分前の決勝点。第28節の栃木戦、1-0の勝利で8連勝を演出した冷静なPK。第35節の磐田戦、ライバル相手の価値あるドローにつながる豪快な左足ボレーなど、印象深いゴールも多い。

 また、19得点を奪い得点ランキングで2位につけるムルジャの決定力を引き出せたのも、キレキレのドリブル突破で他チームの脅威となった泉澤仁が輝いたのも、移籍1年目の横谷繁の攻撃センスが際立ったのも、マークが集中するなかで家長が見せたラストパス、絶妙なタメ、効果的なサイドチェンジがあったからだ。

Jリーグ屈指の身体の強さを持つ家長。

 トレーニングで1対1となり身体をぶつけ合うことの多い河本裕之は、DFならではの視点で大黒柱の凄さを教えてくれた。

「アキは間合いの取り方が上手い。積極的に仕掛けてくるというよりも、相手を見ながら逆を突いてくる。それで、自分の間合いじゃないと思えば、しっかり身体でブロックする。相手を押さえる上半身だけじゃなく身体全部が強い。だから、当たってもボールを取れる気がしない。(家長は)外国人と競り合っても負けないじゃないですか。あれだけ強い日本人選手は、J1にもいないと思う」

 家長の肉体的な強さに関して、フィジオセラピスト(理学療法士)の堀田泰史は、こう見ている。

「簡単に言うと、体幹がしっかりしているんです。プレー中、少しでも骨盤が流れちゃうとバランスが崩れてしまうんですが、アキの場合はそれがない。小さい頃からメディシンボールを投げてもらって、投げ返す練習をしていたと聞きました。その結果、身体の芯が鍛えられたと思いますし、体幹の重要性を意識しながらプレーすることでバランス感覚が磨かれたような気もします。アキみたいな選手は、私が見てきた選手のなかにいません。日本人には珍しいタイプの強さを持った選手かもしれませんね」

【次ページ】 「カテゴリーなんか関係ないと思わせるプレー」

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